大学に入った時から、好きだった、柴咲翔にあたしは好きだと気持ちを伝えた。

返事は、僕も。だった。

その後、あたしたちは、付き合うことになった。
すごく嬉しかった。

でも、一つだけ気になることがある。
翔は本当にあたしのことを好きなのだろうか。

いつもあたしが話しかけても、素っ気ないし、あたしが好きと言った時も返事は、僕も。だった。
だから、好きだとは聞いていない。
あたしは、よく見た目でギャルだと思われているから、翔は怖くて流れで僕も。と仕方なく答えたのではないか。

面と向かって聞けたらいいけれど、そんな勇気はあたしにはない。

いつか、翔と幸せな家庭を築きたい、これがあたしの夢。

でも、もしかしたら、別れることになってしまうかもしれない。
それでも、あたしはいつか翔と幸せになりたい。
愛し合いたい。
そうなることを願ってる。



冷たいけれど、優しい



朝は、翔と駅で約束をして一緒に大学まで行くのだが、いつも無言だ。
なにか話そうと思い、「今日はあったかいねー」と気候の話をするが、「ああ。」と冷たく返されてしまう。

その時、あたしの中でぶちっぶちぶちっと糸が切れるような音がした。
「ねえ、翔はさ、あたしのこと好きだって思ってる?」
とあたしはついに聞いてしまった。
え。あたし、やればできる子?とあたしは自分で自分を褒める。

翔は目を見開いた。
すると、翔はすぐに目を伏せて、俯きがちに思っていることを話し始めた。
「そう思わせてたんだ。ごめん。僕は、美紗のこと、大好きだよ。でも、実は、緊張して、あんな感じになっちゃったんだ。」
翔はそう言って控えめにキスをしてきた。

ぼんっと顔が熱くなる。
あたしは、「そうだったんだ。」と答えるのが、やっとだ。

この時に、あたしは思った。
あたしの気になることは、なんて小さなことだったのだろうと。

この先もずっと翔と幸せにいれるといいな。

翔。これからも、よろしくね。
あたしは心の中で問いかけた。

「冷たいけれど、優しい」あなたに。