アンナの報告に皆が受けた衝撃は、エイダーのそれの何倍も大きかったようだ。
「かのリュディス黄金帝が……簒奪者……?」
特に、リアンとアルディスの3人の弟妹たちは揃って呆然としている。この話は、以前からリアンにだけは話していた。彼はその秘密を、兄弟たちにも明かしていなかったようだ。
「それでは……私達は、征竜帝リュディスの末裔ですらない、ということですか?」
ユーリア皇女などは顔面を蒼白にしていた。そういえばこの人は、リュディスの血を引かないマリアン=ルーヌが女帝となったことに特に不満を抱いていた。血筋で言えば、リュディスの盟友であった討竜公ルーダフの子孫たるマリアン=ルーヌの方が、よほど玉座に相応しいということになる。
「いや馬鹿な……そんなはずがない!」
エルティール伯アロウスは、その瞳に涙をたたえていた。自分たちの拠り所だったはずのものが、実は虚構でしかないと聞かされたのだ。それもやむを得ない反応と言えよう。
「グレアン候!何故あなたは、我らを愚弄するか!? かつて私達兄妹が、あなたと潜在的な政敵であったことは認めよう。だが、今ここで我らの誇りを貶めるのことに、どれほどの意味があるのか!?」
「そんな、愚弄などと……」
このような反応が来ることは理解していた。アンナは、アルティスと一瞬だけ目を合わせる。この後の話の進め方は、二人でも確認し合っている。アンナもアルディスも決して、皇弟皇妹を貶めたいわけではない。
「やめろ、アロウス」
が、アンナが口を開く前に、リアンが弟を諌めた。
「ですが兄上! この者は私達の……!」
「今のアンナの話を全て聞いていたのなら、理解できるだろう。ラルガたちを葬った光の正体と合わせて考えれば、彼女の……いや、彼女のお父君であるサン・ジェルマン伯爵の言が正しい。全て、辻褄が合う……」
「それは……」
皇弟エルティール伯は、抗弁しようとしたが、言葉をつなげることが出来ず、弱々しく席に崩れ落ちた。
「例え……黄金帝の偉業がまやかしだったとしても……それでお前たちの誇りが無意味なものとなった訳ではない!」
「……え?」
突如立ち上がり、そう話し始めた黒髪の青年に、皇族たちの視線が集中した。
「リアン、レスクード、アロウス、そしてユーリア……お前たち兄妹の絆は、130年のまやかしの歴史などより遥かに貴重なものだ」
「マ、マルムゼ、貴様突然何を……?」
黒髪の青年と唯一面識があるリアンがたじろぐ。
「アンナの側近でしかないお前が、何をそんな不遜な……」
慰めのとはいえ、皇族に対して度を越して物言いに、リアンが不快感を示すのは無理もない。
だがリアン自身、どこか違和感を覚えて、どんどん小声になってしまった。今、俺が話しているのは本当にあのマルムゼか? そんな思いが顔に出ている。
「久しいな、弟妹たちよ。俺だ……アルディスだ……!」
「かのリュディス黄金帝が……簒奪者……?」
特に、リアンとアルディスの3人の弟妹たちは揃って呆然としている。この話は、以前からリアンにだけは話していた。彼はその秘密を、兄弟たちにも明かしていなかったようだ。
「それでは……私達は、征竜帝リュディスの末裔ですらない、ということですか?」
ユーリア皇女などは顔面を蒼白にしていた。そういえばこの人は、リュディスの血を引かないマリアン=ルーヌが女帝となったことに特に不満を抱いていた。血筋で言えば、リュディスの盟友であった討竜公ルーダフの子孫たるマリアン=ルーヌの方が、よほど玉座に相応しいということになる。
「いや馬鹿な……そんなはずがない!」
エルティール伯アロウスは、その瞳に涙をたたえていた。自分たちの拠り所だったはずのものが、実は虚構でしかないと聞かされたのだ。それもやむを得ない反応と言えよう。
「グレアン候!何故あなたは、我らを愚弄するか!? かつて私達兄妹が、あなたと潜在的な政敵であったことは認めよう。だが、今ここで我らの誇りを貶めるのことに、どれほどの意味があるのか!?」
「そんな、愚弄などと……」
このような反応が来ることは理解していた。アンナは、アルティスと一瞬だけ目を合わせる。この後の話の進め方は、二人でも確認し合っている。アンナもアルディスも決して、皇弟皇妹を貶めたいわけではない。
「やめろ、アロウス」
が、アンナが口を開く前に、リアンが弟を諌めた。
「ですが兄上! この者は私達の……!」
「今のアンナの話を全て聞いていたのなら、理解できるだろう。ラルガたちを葬った光の正体と合わせて考えれば、彼女の……いや、彼女のお父君であるサン・ジェルマン伯爵の言が正しい。全て、辻褄が合う……」
「それは……」
皇弟エルティール伯は、抗弁しようとしたが、言葉をつなげることが出来ず、弱々しく席に崩れ落ちた。
「例え……黄金帝の偉業がまやかしだったとしても……それでお前たちの誇りが無意味なものとなった訳ではない!」
「……え?」
突如立ち上がり、そう話し始めた黒髪の青年に、皇族たちの視線が集中した。
「リアン、レスクード、アロウス、そしてユーリア……お前たち兄妹の絆は、130年のまやかしの歴史などより遥かに貴重なものだ」
「マ、マルムゼ、貴様突然何を……?」
黒髪の青年と唯一面識があるリアンがたじろぐ。
「アンナの側近でしかないお前が、何をそんな不遜な……」
慰めのとはいえ、皇族に対して度を越して物言いに、リアンが不快感を示すのは無理もない。
だがリアン自身、どこか違和感を覚えて、どんどん小声になってしまった。今、俺が話しているのは本当にあのマルムゼか? そんな思いが顔に出ている。
「久しいな、弟妹たちよ。俺だ……アルディスだ……!」