では、この騒乱のきっかけとなった顧問アンナが勝者なのか?

「いや、そうではあるまい」

 そんな声が聞こえるのは、国務省の下級官吏たちが集まるレストランだ。爵位を持たない準貴族や、平民出身者の多い彼らは、心情的には顧問びいきなのだが、この件に関する評価はやや辛辣だ。

「確かに顧問殿は、旧体制の打破に成功した。我らも多少は仕事をやりやすくなるだろう」
「出世の可能性もあるぞ。大貴族が占有していたポストがこれからどんどん空くだろうしな!」
「ああ。だが、今回のことで顧問殿ご自身が利を得たかというと……」
「そうではないか。陛下のご不興を買い、不仲というお噂もある」
「陛下は、クロイス公から召し上げた領地を近臣に分配したというが、顧問殿への配分はなかったそうだ」
「では、勝者となると、やはりあの方々……」

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