午前10:25宮殿大廊下で変事発生の報告が、ボールロワ元帥に伝えられた。
「馬鹿な……狂ったかクロイス公……」
元帥は思わず口に手を当てて俯く。
「元帥閣下……いかがなさいますか?」
近衛連隊長が上官に声をかける。
「残念だが、もはや演習などと言ってはおられん。全軍、作戦計画に基づき行動を……」
元帥が諸将に指示を出す最中、外で遠雷のような炸裂音が響いた。音の発生源は遠く、天幕に阻まれたこともあり音量そのものは小さかった。しかしそれは深く、低く、軍人たちの腹の底に響いた。
「なんだ今のは?」
「申し上げます!」
兵士が駆け込んでくる。
「ヴィスタネージュにて爆発を確認! 南苑のあたりと思われます!」
「なに!?」
ボールロワ元帥と3人の軍団長たちは、一斉に天幕の外に出た。
宮殿の方角に、一筋の黒煙が昇っているのが見える。この距離であれだけはっきり視認できるということは、かなりの規模の爆発だ。
「陛下の御身が危ない……」
「元帥閣下!」
軍団長たちと目を合わせると、元帥は大きくうなずき、指令を出した。
「全軍、ただちに行動開始! ヴィスタネージュ大宮殿を速やかに制圧し、事態の収集にあたれ!!」
「はっ!」
軍人たちは声を揃えて応答する。
だがこの時、彼らのいずれも気付いていなかった。展開中の征竜騎士団のうち、ダ・フォーリス大尉が指揮する50名の小隊が姿を消していることに……。
* * *
「馬鹿な……狂ったかクロイス公……」
元帥は思わず口に手を当てて俯く。
「元帥閣下……いかがなさいますか?」
近衛連隊長が上官に声をかける。
「残念だが、もはや演習などと言ってはおられん。全軍、作戦計画に基づき行動を……」
元帥が諸将に指示を出す最中、外で遠雷のような炸裂音が響いた。音の発生源は遠く、天幕に阻まれたこともあり音量そのものは小さかった。しかしそれは深く、低く、軍人たちの腹の底に響いた。
「なんだ今のは?」
「申し上げます!」
兵士が駆け込んでくる。
「ヴィスタネージュにて爆発を確認! 南苑のあたりと思われます!」
「なに!?」
ボールロワ元帥と3人の軍団長たちは、一斉に天幕の外に出た。
宮殿の方角に、一筋の黒煙が昇っているのが見える。この距離であれだけはっきり視認できるということは、かなりの規模の爆発だ。
「陛下の御身が危ない……」
「元帥閣下!」
軍団長たちと目を合わせると、元帥は大きくうなずき、指令を出した。
「全軍、ただちに行動開始! ヴィスタネージュ大宮殿を速やかに制圧し、事態の収集にあたれ!!」
「はっ!」
軍人たちは声を揃えて応答する。
だがこの時、彼らのいずれも気付いていなかった。展開中の征竜騎士団のうち、ダ・フォーリス大尉が指揮する50名の小隊が姿を消していることに……。
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