「俺も呼び捨てにしといて」
「……晃?」
「うん」
「……ほんといい人だね」
「旭は愉快な奴だ」
「あれ、俺との評価に温度差を感じるような」
「気のせいだ」
「そっかー」
「……なに二人でコントしてんの?」
「巽お帰りー。朝練お疲れさまー」
「おはようの間違いだろ、旭。なに? 晃と仲良くなったの?」
「もはや親友の域だ」
「そうだったのか?」
胸を張った旭が、俺の一言でしぼんだ。
「……晃、ノリ悪い」
「いや、実はこいつ相当ノリいいよ。顔面がついてこないだけで」
「顔面」
ぶはっと旭が吹き出した。どーいう意味か、巽の奴。
ふとさゆの方を見ると、三人がこちらを見ていた。さゆの姿を見るだけで口元がゆるむ。それを巽と琴には「にやけてる」って言われるとはわかっているけど、どうにも自分では抑えられない。
……昨日、さゆは旭のことを過去形だと言った。でも、また好きになることだってないわけじゃない。
……旭なら………。