土曜日、凛ちゃんと琴ちゃんに晃くんとの関係がばれたことで、今まで隠してきたことを考え直した。
私だっていじめに遭ったころの私のままじゃないつもりだ。
あのときは突然のことに驚いて反論の一つも出来なかったけど……自分ひとり守れないやつが、晃くんを護るなんて言っていいわけがない。
晃くんを護るために強くなりたい。
だから、本当は仲良しなのを隠しているのはもうやめたい。
私が晃くんの傍にいることが気に食わなくて何かしてくる人もいるかもしれない。
今まで通り関係を隠しているのは、それを恐れているってこと。
自分ひとり護る決意すらしていなかったということ。
隠すのはもうやめにしよう。
せっかく晃くんといられる時間を、いじめなんて愚の骨頂を恐れて隠しているなんてもったいない。
たとえもし何かあったとしても、私は決めたから。
晃くんと一緒にいて恥じない自分になるのだと。
……だから今日は、その第一歩。
月曜日の朝、私はいつも通り登校して凛ちゃんと琴ちゃんとお話していた。
だんだん集まってくるクラスメイト。
朝練終わりの生徒も混じって来て、賑やかになってくる。
後ろの方の席についている晃くんのところに、朝練終わりの巽がやってきた。
――よし、今だ。
私の机に集まっていた凛ちゃんと琴ちゃんに肯いて見せてから、席を立った。
二人とも肯き返してくれる。
今日することは、二人には話してある。
晃くんの傍へ行くと、クラス内の女子の視線を感じた。
……っ、このくらい、大丈夫。だって、晃くんがいてくれる。
「あ、咲雪おはよー」
「……おはよ」
「おはよう。巽――晃くん」
……言った! 言ったよ!
今まではずっと『雪村くん』って呼んでたから、私が『晃くん』って呼んだとき、一瞬空気がざわついた。
でも、一番驚いていたのは晃くんだった。
大きく目を見開いて、固まっていた。
隣の巽は何かを見透かしたような表情をしている。
巽は千里眼とか持っていると思う。
「さゆ――」
あ、晃くんも呼んだ。
ちょいちょいと手招きされたから傍まで寄ると、がしりと肩を摑まれた。
「こうく――
「ありがと。嬉しい、さゆ」