女の子? あれが? どう見ても俺に敵意むき出しのくそヤンキーじゃないか。
と思ったけど、さゆの語彙にそんな言葉を入れたくないので口にはしなかった。
「俺からしたらただのうるさい奴だから、性別って関係ないんだけど……」
「! 性別を超えた友情!」
なぜそうなる。
さゆの頭の中はどれだけ性善説で出来ているんだ。
「ない。琴との間に友情なんてない。この先も」
「……その割にはふつーに下の名前で呼ぶんだね?」
「ん? あー、なんか、前学校が一緒だった感覚はあるから……?」
「……私だけだと思ってたのに……」
「? なにがさゆだけ?」
「……なんでもないよ」
ふいっとそっぽを向かれてしまった。
……さゆ、拗ねてる? まさか原因はあのクソバカヤンキーか⁉ よし、今度改めてシメておこう。