雨も止んで来た夕方、三人は帰った。

玄関で、さゆと二人で見送る。

「楽しかったけど、ごめんね、晃くん。ばれちゃった上に全然仕事にならないで――晃くん?」

ふっと、引かれるように俺の額は、こちらを振り返ったさゆの肩に落ちた。

「どうしたの? ……やっぱ、怖いままだった? もう雷も聞こえないと思うけど――」

「俺、カッコ悪ぃ……」

いや、そんな情けないこと言う方がカッコ悪い。

と思うんだけど、口に出さずにいられなかった。

「晃くんのどこが。カッコいいとこばっかじゃん」

「そんなことない。全然ない。雷のときも、さっきも、さゆに護られてばっかだ。……俺がさゆのこと、護るって言ったのに」

一緒に住むようになった翌日、さゆに言ったのに。

……なんとか、顔をあげる。

これ以上醜態をさらすわけには――ふわりと、またさゆの両手が俺の頭を抱えるように廻った。

少しだけ互い違いになった位置で、お互いの顔は見えないままさゆが喋った。

「あんなのお互い様だよ。晃くんとは長いこと、友達よりも家族って感じで来たじゃん」

……友達よりも、家族。

本当に、そうなれたらいいのに……。

「凛ちゃんにも琴ちゃんにも、もっと早く話しておいてもよかったのかな。隠してたこと、凛ちゃんは怒らせちゃったみたいだし……」

「でも、相馬ならゆるしてくれただろ?」

「……うん」

「なら、今が一番いいタイミングだったんだよ。絶対」

「……絶対?」

「そ。絶対」

するっとさゆの腕がほどかれた。

ところで、ここで一つ確認しておきたい。

「さゆ、男に抱き付くとか、躊躇いないのか?」

雷のときといい、今といい、さゆはすんなり俺を腕の中に置いてくれる。

「え? 全然知りもしない人にはしないよ」

「……巽は?」