成績は群を抜いているし、ルックスはモデルさんにスカウトされたことがあるほど。
興味ないってその場で断ったみたいだけど。
晃くん自身は部活には入っていないけど、バスケ部の親友の練習相手も出来るほどに運動神経もいい。
そんな晃くんと仲良くなったのは、お母さんたちがきっかけだったりする。
晃くんとは中学一年のときに同じクラスになった。
私も晃くんも家族は現在、お母さんしかいない。
保護者会で知り合った私のお母さんと、晃くんのお母さんの奏子さんは意気投合して、一緒に会社まで立ち上げてしまった。
それ以来、家族ぐるみの付き合いという関係だ。
私とお母さんは、亡くなったおじいちゃんとおばあちゃんが暮らしていた家を継いでいて、晃くんと奏子さんは近くのマンションに住んでいる。
「そういや、巽には言っていいんだっけ?」
「うん。巽なら全部知ってるから」
巽というのは、藤沢巽(ふじさわ たつみ)。
私の保育園からの幼馴染であり、晃くんとは中学からの親友の男バス部員だ。
竹を割ったようなサッパリした性格で、いい人の塊みたいなやつ。
「こ――相馬や三科にも話していいけど?」
う……。私のたった二人の大事な友達、相馬凛ちゃんと、三科琴ちゃん……。
「うーん……凛ちゃんも琴ちゃんも言いふらしたりはしないと思うんだけど、こう、秘密の共有者にしてしまうのが申し訳ないというか……」
凛ちゃんとは中学から一緒で、琴ちゃんは高校で同じクラスになって友達になった。
学校では三人でいることがほとんどだ。
百六十八センチの身長で、ショートカットが似合う凛ちゃんは男前系。
平均身長の私より少しだけ背が高い琴ちゃんは学校ではよくポニーテルにしているんだけど可愛い癖っ毛で先端がくるっとまるまっている、ふわふわした天使みたいな子。
二人にも秘密にしている理由は、まだ私が凛ちゃんと友達になる前に起こったから、どちらにも晃くんのことは話せていない……。
「無理にとは言わないよ。もうさゆをあんな目に遭わせたくないしな」
フォークを置いた晃くんは、テーブルの上で軽く腕を組んで優しい顔で言ってくれる。
私は少しだけ視線を下へ向けた。
……あんな目、と言うのは、いわゆるいじめだ。
中学一年生の、凛ちゃんと友達になる前で、晃くんとはお母さん同士が友達だけど私たちは特別仲いいわけではないクラスメイト程度の認識しかなかった頃。
どこからか、私と晃くんが付き合っていると噂が流された。
そして女子の集団に呼び出されて水をぶっかけられた。
びっくりして固まっていたら罵詈雑言の数々……。
私がその子たちに連れていかれるのを巽が見つけてくれていて、助けに入ってくれた。