ぺろっと口の端を舐めた凛ちゃん。

あ、あれ? なんか怖いんですが……。

「咲雪よぉ、あたしだっててめえの身くらいてめえで護れるぜ。あたしが咲雪を悲しませるようなことにするわけねえだろ」

……凛ちゃんの力説に論破されました。

内容というか、その力強さに。

正座の形を整える。

「はい。凛ちゃんをみくびっていたようです……。こんな強い凛ちゃんに愚かしい幻想を抱いていました……。ごめん」

「わかりゃいいよ。あたしも脅すような言い方して悪かった」

「………」

「………」

「はーい! 仲直りね、二人とも!」

なんとなく沈黙が落ちてしまっていると、琴ちゃんがぱんっと手を打って空気を変えてくれた。

それからソファから立ち上がり、

「そうだ咲雪ちゃん、材料も買って来たんだ。お菓子作るのにキッチン借りてもいい?」

「お前も結構自由だぞ。咲雪、付き合ってやって。琴さんのご機嫌とっとかんと」

「みんな自由だよ」

すごい勢いで無法地帯になったね、ここ。

一人でお菓子を食している凛ちゃんを置いて、琴ちゃんに続いてキッチンへ入る。

……ここのところずっと晃くんと並んでいたからちょっとだけヘンな感じだ。