「そういうずけずけ這入ってくるところがむしろさっぱりしてるの、凛ちゃんは」

「ほーなんか?」

「一人でお菓子バリバリ食べてるあたりも自由を感じるよ。でも咲雪ちゃん、なんで凛ちゃんにも黙ってたの? この男前凛ちゃんなら、女子のそういうのさっぱりかわしてくれそうだけど」

……確かにそうだ。

「それは……晃くんにも何度か、凛ちゃんには話してもいいんじゃないか? って言われてたんだけど……」

「うん。あたしも気になるな」

お菓子を食べ続ける凛ちゃん。

「……まさかだけど、凛ちゃんをそういういやがらせの対象に巻き込んでしまうのが嫌で……黙ってた」

「……あたしのためを思って?」

お菓子を食べる手を止めた凛ちゃん。

「ううん。私の勝手な判断。凛ちゃんが傷つけられたら、私が悲しいから……」

「ほーかほーか」

凛ちゃんはまた一口、お菓子を食べながら肯いた。

こくん、と喉を鳴らした音がやけに大きく聞こえた。

「あたしも咲雪になめられたもんだぜ」