「晃くん、ばらしてないよ? 三年以上一緒にいる私も知らなかったし」

それでさっきびっくりしたんだ。

晃くんのこと、ほとんど知っていると思っていたし、ましてや私の友達のことで隠し事をされているなんて思わなかったから……ちょっとだけ、ショックはあった。

「……咲雪ちゃんはなんで黙ってたの? 琴は中学んときのこと、知られたくなかったからだけど」

……そういえばそうだ。晃くんばかり責められない。

凛ちゃんに至っては、晃くんと仲いいって三年近く黙っていたんだ。

私も、打ち明ける決意をする。

「……晃くんって女子に人気あるじゃない?」

「まーあたしは興味ないけどな」

「琴も晃なんてどうでもいいー」

……ズタボロじゃないか、学校イチのイケメン。

気を取り直して続ける。

「中学に入って、まだ凛ちゃんと友達になる前なんだけどね。最初の中間テストの結果が晃くんが一位で私が二位ってことがあったとき――そのときはまだお母さん同士が友達になったばかりっていうくらいの関係しかなかったんだけど、私と晃くんが付き合ってるって噂を流されたんだ」

「晃のやつ咲雪ちゃんと付き合ってたの⁉」

「落ち着いて琴ちゃん。デマ、嘘だよ。誰が流したのかわからないんだけど、それが原因で一部の女子からいやがらせをされたの。それを巽が助けてくれて、そのとき巽と晃くんはもう親友っていうくらい仲良かったの。巽が否定してくれて、親友がそう言うんなら、って感じで収まったんだ。巽と私が幼馴染っていうのは知れていたし」

「誰だよそいつ。琴、今から調べて来る。血祭りにあげてやる」

琴ちゃん⁉ 物騒すぎます!

「落ち着いて琴ちゃん。私、根に持ってたりしないから。で、それを知った晃くんが、プライベートで交流あるの、お互い黙っていようって言って来たの。学校で話せなくても、お休みの日とかは普通に逢えるし、私も別にいいかなって思って」

そこまで言うと、琴ちゃんはソファに座ったまま前かがみになって、膝に肘をついて、頬に手を当てた。

「あー。それなら琴もわかる。女子の間って陰湿なんだよね」

「そうなのか? あたしは割とさっぱり来たぞ?」

「凛ちゃんはそうだろうね。凛ちゃんの性格もさっぱりしてるし」

「おい元ヤン。口に毒残ってんぞ」