「咲雪ちゃーん! お菓子パーティーしよー……って、何してるの⁉」

「へ?」

玄関ドアの向こうにいたのは宅配便さんじゃなくて、凛ちゃんと琴ちゃんだった。

傘をさしていて、二人とも片手には大きく膨らんだ袋を持っている。

そして私を見て口を開いて固まった。

……うん?

「な、なんで雪村が……っ?」

「なんで晃が咲雪ちゃんに抱き付いてんの⁉ 離れてよこの変態!」

「こ、琴ちゃん何言って――って、ごめん晃くんバレた!」

「みたいだな。取りあえず中入れたら?」

一気に騒がしくなった所為か、晃くんはむしろ冷静だった。

私の首から腕を離してくれたから、凛ちゃんと琴ちゃんの腕を摑んで家の中に引き入れた。







「――黙っていて大変申し訳ありませんでした!」

ソファに並んで座る凛ちゃんと琴ちゃんに向かって、私は土下座した。

晃くんはラグに胡坐をかいて座っている。

私が頭をあげると、凛ちゃんは腕を組んで肩を下げた。

「ほんとだよ。いつの間に雪村と付き合い始めたんだ?」

「へ? いや、付き合ってはないけど……」

本当のことを伝えたけど、凛ちゃんは疑うように目を細めた。

「だってさっき雪村抱き付いてたじゃん。しかも咲雪の家で」

あ。

そうだよ! 早く経緯を説明しないと! 謝罪にばかり気を取られていた!

私が弁明の言葉を発する前に、晃くんが言った。

「俺とさゆ、今、さゆの家で一緒に住んでんの」

「「なんで⁉」」

「こ、晃くん!」

凛ちゃんと琴ちゃんを驚かせてしまった。驚かせてばかりだ……。

晃くんは、はたはたと手を振る。

「さゆ、これ以上黙ってると面倒呼びそうだから、もう話したら? 二人なら口外しないでって言えばそうしてくれるだろ?」

う……。そう、なんだけど……。

うん。

ちゃんと話さないと、二人の友達も名乗れないよね。

呼吸を整えて、改めて並んでソファに座る凛ちゃんと琴ちゃんに向き直る。