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「はい、どーぞ」

「わーっ、晃くんのごはん~」

思わず拍手してしまうほどキラキラしているのは、ダイニングテーブルに置かれたワンプレートに盛り付けられた朝ごはん。

サニーレタスを少し乗せて、イチゴジャムを添えたフレンチトーストと、キウイフルーツにヨーグルトを添えたデザート。

晃くんはこういう、映える料理が得意だ。

「珍しいもんでもないだろ」

「珍しいとかじゃなくて、単純に美味しんだよ。綺麗だし。は~美味」

晃くんが席につくより先にフレンチトーストを一口ほお張る。パンの半熟加減と甘さが絶妙……!

私の目の前の席の椅子を引いて、晃くんも座る。

「大袈裟。さゆの昨日の夕飯の方がうまかった」

自分もフォークを手にしながら苦笑する晃くん。

慰めてくれるのは嬉しいけど……。

「……私のご飯は茶色いってよくお母さんに言われる」

思わずぶすっとした顔になったと思う。

私はいわゆる茶色いごはんを作ることが多い。煮物系ってことだ。

でも高校一年生の女子としては、写真に撮ってSNSにあげられるようなごはん――晃くんの作るようなごはんに憧れる。

やっているSNSは友達とお話するメッセージアプリくらいで、投稿するようなのはやってないんだけど。

友達二人もそういうのはやっていなくて私もなんとなく、やりたい! とまでは思わなくて。

中学の頃の私だったら、友達が出来るきっかけがほしい! と思って始めていたかもしれないけど、中学に入って少しした頃に出来た友達の凛ちゃんがいるから、私はそういう世界を望まなかったんだと思う。

晃くんが自分も一口食べてから、確か、と言った。

「おばあ様仕込みだっけ?」

「うん。だから晃くんのキラキラした海外のご飯みたいなの、すっごい憧れ」

「海外って」

くすりと笑う晃くん。

普段は不愛想でダウナーだと有名な晃くんだけど、実はよく笑う人。

……この同居どころか、晃くんと親しいことを大事な友達にすら秘密にしている理由は、晃くんが学校一の人気者だからということに尽きる。