友達として、人間として、ってやつかな。
「巽、いい奴だしな」
「うん。晃くんも巽のこと好きだよね」
私が返すと、晃くんの頭が少し揺れた。たぶん肯いたんだと思う。
「……巽は踏み込んで来すぎないし、距離感取るの上手いから、一緒にいてラク」
「あ、わかる。私も、巽のそういうとこに助けられてきたから好きなのかも」
色々抱えている身としては、そういう存在ってありがたい。
巽は巽で大変なんだけどね。
「……話さないでほしいことは絶対話さないし」
「そうそう。秘密、一緒に守ってくれるんだよね」
私と晃くんが友達なことも、事情を話したら誰にも秘密にしていてくれる。
「俺も、巽とさゆと小学校一緒がよかった」
「私も入れてくれるの? それも楽しかっただろうね」
晃くんも同じ小学校かあ。きっと絶対、楽しかったと思う。
……少し、大丈夫になったかな。ぽんぽん、と晃くんの背中を叩く。
「……さゆ?」
「うん? 落ち着いてきた?」
「……うん」
晃くんの声には、だんだん力が戻ってきているみたいだ。
「よかった。これからは、雷のときは傍にいるようにするからね」
「……これから?」
「今までは知らなかったから何も出来なかったけど……。でも、ちゃんと知ったから、傍にいるようにするよ」
「……うん。お願い」
「かしこまりました」
私には雷の音は聞こえなくなったけど、晃くんが完全に大丈夫かはわからない。
晃くんが、離れていいって言うまでこうしていよう――
ピンポーンッ
と、そのときチャイムが鳴った。
「あ、晃くん、少し離れても大丈夫?」
「……だめ」
だめですか。
「うー、じゃあこのままでもいいから玄関まで行ける?」
「……行く」
晃くんに抱き付かれたまま、私は玄関ドアを開けた。
宅配便か何かかと思って。
「はーい」
「咲雪―! 来ちゃったー!」