女性の多い世界にきてから二日が経過した。
最初はお風呂の入り方すらわからなかったが、親切なレベッタさんやヘイリーさんに助けてもらい、必要最低限のことは覚えられたような気がする。脱衣所で着替えを見られてしまうハプニングはあったものの、新しい生活に順応している。
この体にも少しは慣れてきたけど、俺はまだ外には出ていない。二人が許してくれないのだ。
理由は分かっている。
俺がこの世界の常識を知らなすぎるから。
今は外に出ても変な行動をしないよう、最低限の常識を学んでいるところだった。
「ということで、今日は女性との接し方について学んでもらいたいと思います」
ベッドに座りながら、メガネをかけたレベッタさんを見ている。彼女、目が良いはずなんだけどな。
寝室に女性と二人っきりで少しドキドキしてしまう。異性どころか同性の友達すらいなかったので、なんだか不思議な気分だ。
「学ぶ必要ありますか? 今だってレベッタさんと普通に接していると思いますが」
「甘い、砂糖よりも甘い考えですねっ!!」
ピッっなどといった音が出そうな勢いで、指をさされてしまった。なんで自慢げな顔をしているのかわからない。この世界の女性は優しいんだけど、たまによくわからない行動をするな。
「いいですか、イオディプス君。世の男は女に冷たく、すぐに殴ったり蹴ったりします」
「そいつら最低ですね」
なんてことだ! この世界はクソ親父と同じ男ばかりがいるようだ。女性に手を上げるなんて最低な行いで、見かけたら絶対に止める。
「そう思ってくれるのは嬉しいんだけど、私以外の女は勘違いしちゃうから気をつけて」
「どいうことですか?」
「イオディプス君の優しさを愛情だと思っちゃうんだよ」
愛しているから親切にしてくれている。私は特別なんだって思うようになるのか。
こういった話はよく聞くし、レベッタさんの説明は納得できた。
「でも女性に冷たくするなんてできません」
「良い子だね~」
突然、頭を撫でられてしまった。
レベッタさんが両手で僕の頭を掴み、じっと見つめてくる。半目になっていて少し怖い。
「でもね、その優しさにつけこんで利用する女が多いの。わかる?」
「あ、はい」
迫力がありすぎて余計なことは言えない。
首を縦にカクカクと振ろうとしたけど、動かせなかった。なんてパワーだ。
「だからね。私と仲間以外には心を開いちゃダメ。近づいてくる女は全員敵だと思った方が良いよ」
「それは言い過ぎで……」
頭を掴む手に力が入ったみたいで軽い痛みを感じ、言葉が止まってしまった。
「何時までも甘いこと言っていると、お姉さんも怒っちゃうよ?」
優しさが込められた声なので、まったく怖くない。ダメな弟に説教をしているようだ。家族愛みたいなものを感じ、注意されているの嬉しくなってしまった。
自然と頬の筋肉が緩んでしまう。
「私は本気なんだけど……何で笑っちゃうのかなぁーっ!」
「心配してくれて嬉しいからです」
「あああありがとう!?」
急にレベッタさんの頬が真っ赤になって、汗が浮き出ている。
目がキョロキョロと動いていて落ち着きがない。
「落ち着いてください。どうしたんですか?」
「嫌われるかもと思って言ったのに、嬉しいとか言われたんだよっ! 驚くに決まっているじゃん! 好きになっちゃうよ!」
ものすごい早口で言われてしまった。とんでもないワードが飛び出したこともあって、レベッタさんは手で自分の顔を隠してしまう。
「レベッタさんならいいですよ」
知らない人に迫られるのは怖いけど、好意を抱いている相手であれば別だ。
恋愛感情というのはよくわからないけど、親愛といった感情はある。好きと言われて嫌な気分にはならない。むしろ嬉しい。
レベッタさんは手で顔を覆ったままの状態で指だけを動かし、隙間から俺を見る。
「それは本当かな? 気持ち悪くない? 実はウザッとか思ってない?」
「思ってません」
そんな酷いことを言うわけがない。
もう少し信じてくれと思ってしまう。
「さっきの言葉は心から言っていますよ」
「マジで!? やったーーーーっ!!」
急に飛び跳ねると、レベッタさんは両手を挙げて喜んだ。
「あはは……」
好意を持っているとは言え、さすがにこの行動には少し引いてしまった。
言葉に出してしまえばレベッタさんを傷つけてしまうので、心の中にしまっておこう。
「勉強中なのに、なんで騒いでいるの」
深夜まで起きていたのか、眠そうにしながらしているヘイリーさんが寝室に入ってきた。
水色の薄い生地の寝巻きで、体にピッタリと密着するタイプだ。胸は控えめなだけど、だからこその色気というのを感じてしまう。俺の目は女性らしいくびれに釘付けだ。
そんな状態に気づいたのか、ヘイリーさんは俺の横に立つと、優しく抱き付いてくる。
「私の事も好きかな?」
耳元で囁かれてしまった。
足を組んで、下半身の盛り上がりを誤魔化しながら答える。
「もちろんですよ」
「ありがと」
耳にキスされてしまった。
顔が熱くなってくるのがわかる。きっと今の俺は顔が赤くなって……。
「ヘイリーーーーっ!」
レベッタさんは激怒しているようで、頭に角が生えたんじゃないかって錯覚してしまう。あれは、ダメだ。怖い……。
「何?」
「ちょっとお話し合いをしましょうか」
「望むところだね」
世界の常識を学んでいる途中だったんだけど、二人は別の部屋に行ってしまった。
俺の勉強、どうするつもりなんだろう。
最初はお風呂の入り方すらわからなかったが、親切なレベッタさんやヘイリーさんに助けてもらい、必要最低限のことは覚えられたような気がする。脱衣所で着替えを見られてしまうハプニングはあったものの、新しい生活に順応している。
この体にも少しは慣れてきたけど、俺はまだ外には出ていない。二人が許してくれないのだ。
理由は分かっている。
俺がこの世界の常識を知らなすぎるから。
今は外に出ても変な行動をしないよう、最低限の常識を学んでいるところだった。
「ということで、今日は女性との接し方について学んでもらいたいと思います」
ベッドに座りながら、メガネをかけたレベッタさんを見ている。彼女、目が良いはずなんだけどな。
寝室に女性と二人っきりで少しドキドキしてしまう。異性どころか同性の友達すらいなかったので、なんだか不思議な気分だ。
「学ぶ必要ありますか? 今だってレベッタさんと普通に接していると思いますが」
「甘い、砂糖よりも甘い考えですねっ!!」
ピッっなどといった音が出そうな勢いで、指をさされてしまった。なんで自慢げな顔をしているのかわからない。この世界の女性は優しいんだけど、たまによくわからない行動をするな。
「いいですか、イオディプス君。世の男は女に冷たく、すぐに殴ったり蹴ったりします」
「そいつら最低ですね」
なんてことだ! この世界はクソ親父と同じ男ばかりがいるようだ。女性に手を上げるなんて最低な行いで、見かけたら絶対に止める。
「そう思ってくれるのは嬉しいんだけど、私以外の女は勘違いしちゃうから気をつけて」
「どいうことですか?」
「イオディプス君の優しさを愛情だと思っちゃうんだよ」
愛しているから親切にしてくれている。私は特別なんだって思うようになるのか。
こういった話はよく聞くし、レベッタさんの説明は納得できた。
「でも女性に冷たくするなんてできません」
「良い子だね~」
突然、頭を撫でられてしまった。
レベッタさんが両手で僕の頭を掴み、じっと見つめてくる。半目になっていて少し怖い。
「でもね、その優しさにつけこんで利用する女が多いの。わかる?」
「あ、はい」
迫力がありすぎて余計なことは言えない。
首を縦にカクカクと振ろうとしたけど、動かせなかった。なんてパワーだ。
「だからね。私と仲間以外には心を開いちゃダメ。近づいてくる女は全員敵だと思った方が良いよ」
「それは言い過ぎで……」
頭を掴む手に力が入ったみたいで軽い痛みを感じ、言葉が止まってしまった。
「何時までも甘いこと言っていると、お姉さんも怒っちゃうよ?」
優しさが込められた声なので、まったく怖くない。ダメな弟に説教をしているようだ。家族愛みたいなものを感じ、注意されているの嬉しくなってしまった。
自然と頬の筋肉が緩んでしまう。
「私は本気なんだけど……何で笑っちゃうのかなぁーっ!」
「心配してくれて嬉しいからです」
「あああありがとう!?」
急にレベッタさんの頬が真っ赤になって、汗が浮き出ている。
目がキョロキョロと動いていて落ち着きがない。
「落ち着いてください。どうしたんですか?」
「嫌われるかもと思って言ったのに、嬉しいとか言われたんだよっ! 驚くに決まっているじゃん! 好きになっちゃうよ!」
ものすごい早口で言われてしまった。とんでもないワードが飛び出したこともあって、レベッタさんは手で自分の顔を隠してしまう。
「レベッタさんならいいですよ」
知らない人に迫られるのは怖いけど、好意を抱いている相手であれば別だ。
恋愛感情というのはよくわからないけど、親愛といった感情はある。好きと言われて嫌な気分にはならない。むしろ嬉しい。
レベッタさんは手で顔を覆ったままの状態で指だけを動かし、隙間から俺を見る。
「それは本当かな? 気持ち悪くない? 実はウザッとか思ってない?」
「思ってません」
そんな酷いことを言うわけがない。
もう少し信じてくれと思ってしまう。
「さっきの言葉は心から言っていますよ」
「マジで!? やったーーーーっ!!」
急に飛び跳ねると、レベッタさんは両手を挙げて喜んだ。
「あはは……」
好意を持っているとは言え、さすがにこの行動には少し引いてしまった。
言葉に出してしまえばレベッタさんを傷つけてしまうので、心の中にしまっておこう。
「勉強中なのに、なんで騒いでいるの」
深夜まで起きていたのか、眠そうにしながらしているヘイリーさんが寝室に入ってきた。
水色の薄い生地の寝巻きで、体にピッタリと密着するタイプだ。胸は控えめなだけど、だからこその色気というのを感じてしまう。俺の目は女性らしいくびれに釘付けだ。
そんな状態に気づいたのか、ヘイリーさんは俺の横に立つと、優しく抱き付いてくる。
「私の事も好きかな?」
耳元で囁かれてしまった。
足を組んで、下半身の盛り上がりを誤魔化しながら答える。
「もちろんですよ」
「ありがと」
耳にキスされてしまった。
顔が熱くなってくるのがわかる。きっと今の俺は顔が赤くなって……。
「ヘイリーーーーっ!」
レベッタさんは激怒しているようで、頭に角が生えたんじゃないかって錯覚してしまう。あれは、ダメだ。怖い……。
「何?」
「ちょっとお話し合いをしましょうか」
「望むところだね」
世界の常識を学んでいる途中だったんだけど、二人は別の部屋に行ってしまった。
俺の勉強、どうするつもりなんだろう。