月華さんとのお出かけはショッピングモールに行き、買い物をして、近くのカフェでお茶をした。
「そういえば、なんで月華さんは月の癒し屋を開店したんですか?」
「……私、小さい頃から一人で過ごすことが多かったの。お父さんは出張で色々な場所に行って、家には帰って来ないし、お母さんは仕事が忙しくて夜遅くに帰って来たの。だから、ご飯も一人で食べることが日課になっていったの。でもね、たまにお母さんがご飯を作ってくれて、一緒に晩ご飯を食べたの」
 そこまで話すと月華さんはにっこりと笑った。
「その時は嬉しくてたまらなかった。その時気づいたのよ。ご飯は一人より二人で食べる方が美味しいって。だから、月の癒し屋を開いて仕事で疲れた人を少しでも癒そうって思ったの」
 そんな裏話があったんだ。
「そうだったんですね……」  
「……ねぇ、梨々花さん?私とお料理してみない?」
 え……?月華さんとお料理⁉
「わ、私、あんまりお料理したことないんですけど……」
 北海道にいる時はお母さんが作ってくれたから、私は少しお手伝いするくらいだった。
「全然平気よ。何度失敗したっていいの。やってみないとわからないわ」
 そうか。月華さんに教えてもらえば少しは料理、上手くなるかな。
「じゃあ、やってみたいです……!」