「……梨々花。もっと広い世界を見てきたら?」
急に言われたお母さんの一言でこんなにも私の人生が変わるなんて。
私の名前は天宮梨々花。
ついこの間、大学を卒業し、社会人の仲間入りをした。
でも、私には悩みがある。その悩みは。
「でも……!こんな田舎に働ける場所ある⁉」
そう。私が住んでいる場所は北海道の片田舎。
北海道の景色は大好きだし、不便なことはあまりないと思っていたけれど、まさか仕事の悩みが生まれるとは。
「だから言っているの!都会に行ってもっと広い世界を知って来なさいって」
「……そうだ!松崎さんのとこのおばあちゃんの畑で働くのは?」
松崎さんは少し離れたところに住む農家さん。
松崎さんの作る野菜はとても美味しい。
「はぁ……梨々花、松崎さんの畑に行くのに何時間かかると思ってるの?」
「えっと……片道五時間だっけ?」
「そうよ。天候によってはもっと長くなる時もあるんだから」
これには何も言えない。
「ねぇ、梨々花。世界はここだけじゃないんよ。北海道も素敵な場所よ。でもね、それだけで終わってほしくないのよ。もっと綺麗な景色があって、もっと楽しい時間を過ごせるかもしれない。なんでもやってみないと」
少し憧れもあった。キラキラした都会を見ると私の知っている世界とは全く違う世界で。
私も行ってみたいなってずっと思っていた。
「わ、わかった。行ってみる」
こんな感じで私は北海道を離れ、東京に来た。
仕事も始めたけれど、初めてのことばかりでミス連発。
上司には怒られるし……もうメンタルぼろぼろ。
私は家賃の安いアパートを借りて住んでいる。
自炊も頑張っているけれど、今日は疲れたし、どこかで食べて行こう。
飲食店を探していると大きな洋風の飲食店を見つけたけれど。
「このお店は開いていないのかな」
店の電気は消えていた。
「あれ?お客さん?」
店の中から一人の女性が出てきた。
私より少し上くらいの年齢だろうか。
肌は真っ白でパッチリした目。
「うちで食べてく?」
「いいんですか……?」
「もちろんよ。だってうちは飲食店よ?なのにお客さんを入れないなんておかしいでしょ?」
その人は店の中に案内してくれた。
私はカウンター席に座りメニューを見た。
「今日のおススメでお願いします」
メニューを見ても何が何だかわからないのでおススメにしておこう。
それにしても私以外の客が見当たらない。
「はい、どうぞー……あなた以外のお客さんは今はいないわ。ゆっくり休んでね」
「あ、ありがとうございます!」
「これはかぼちゃの海苔風味チーズ焼きよ。お客さんのお顔が疲れているみたいだから肌荒れ対策としても役立つ料理よ」
そんな効果まであるんだ。
とても美味しそう。
「そうだわ。名乗り遅れたけれど、私はこの店‘’月の癒し屋‘’店主の今泉月華と言います。よろしくお願いしますね」
「天宮梨々花です。……こんなに美味しいお料理食べたの初めてです……!」
「本当?嬉しいわ。梨々花さんって呼んでもいいかしら?私のことは月華って呼んでくれていいからね」
こんなにフレンドリーな方初めて見たかも。
「梨々花さんは最近疲れているの?」
「はい……そうなんです。私、社会人一年目で、北海道からこの間こっちに来たんですけど、知らないことが多くてミスしてばっかりで……っ」
私の話を最後まで真剣に聞いてくれる月華さん。
「……私も北海道出身なのよ?私は高校の時にこっちに来たのだけど、ここと北海道は全然違くてビックリしたんだから。誰でも初めてのことは怖くて不安になるわ。でも、梨々花さんのお母さまはそういう体験もしてほしかったんじゃないかしら」
どういうことだろう。
「悪い意味じゃないわ。これは梨々花さんだけじゃないけれど、誰だって親が先にいなくなってしまうでしょ?梨々花さんのお母さまはそう考えた時、梨々花さんが一人でもちゃんと生きていけるように東京に働きに行きなさいって言ったんじゃないかしら」
お母さん……。
そう思うとこんなことはかすり傷でもなんでもない。
「少しは役に立ったかしら」
「はい……!ありがとうございます!あと、美味しいお料理も!」
そう言って私は家に帰った。
次の日に会社に行った。ミスをしてもちゃんと反省して次に活かす。
そう心で誓ったのだった。
今日もまた月の癒し屋に行こう。
「いらっしゃいませー……って、梨々花さん。今日はなに食べる?」
ふわりと笑う月華さん。
「えっと、じゃあ、わさび醤油のサラダでお願いします」
「はーい、お待たせしました。これはむくみ対策としても優秀よ。むくみは冷えから来てしまうこともあるからお白湯を飲んだりすることをおススメするわ。それと、塩分の摂り過ぎがむくみの原因になるから、このサラダに入っているアボカド、トマトなどに含まれるカリウムを摂取すると良いの」
丁寧に説明してくれるから勉強にもなる。
「そうなんですね!……あ、あの。今度お出かけに行きませんか?」
「素敵ね、それ!行きましょ?」
「本当ですか?」
「ええ。もちろんよ」
こうして月華さんと出かけることになった。
急に言われたお母さんの一言でこんなにも私の人生が変わるなんて。
私の名前は天宮梨々花。
ついこの間、大学を卒業し、社会人の仲間入りをした。
でも、私には悩みがある。その悩みは。
「でも……!こんな田舎に働ける場所ある⁉」
そう。私が住んでいる場所は北海道の片田舎。
北海道の景色は大好きだし、不便なことはあまりないと思っていたけれど、まさか仕事の悩みが生まれるとは。
「だから言っているの!都会に行ってもっと広い世界を知って来なさいって」
「……そうだ!松崎さんのとこのおばあちゃんの畑で働くのは?」
松崎さんは少し離れたところに住む農家さん。
松崎さんの作る野菜はとても美味しい。
「はぁ……梨々花、松崎さんの畑に行くのに何時間かかると思ってるの?」
「えっと……片道五時間だっけ?」
「そうよ。天候によってはもっと長くなる時もあるんだから」
これには何も言えない。
「ねぇ、梨々花。世界はここだけじゃないんよ。北海道も素敵な場所よ。でもね、それだけで終わってほしくないのよ。もっと綺麗な景色があって、もっと楽しい時間を過ごせるかもしれない。なんでもやってみないと」
少し憧れもあった。キラキラした都会を見ると私の知っている世界とは全く違う世界で。
私も行ってみたいなってずっと思っていた。
「わ、わかった。行ってみる」
こんな感じで私は北海道を離れ、東京に来た。
仕事も始めたけれど、初めてのことばかりでミス連発。
上司には怒られるし……もうメンタルぼろぼろ。
私は家賃の安いアパートを借りて住んでいる。
自炊も頑張っているけれど、今日は疲れたし、どこかで食べて行こう。
飲食店を探していると大きな洋風の飲食店を見つけたけれど。
「このお店は開いていないのかな」
店の電気は消えていた。
「あれ?お客さん?」
店の中から一人の女性が出てきた。
私より少し上くらいの年齢だろうか。
肌は真っ白でパッチリした目。
「うちで食べてく?」
「いいんですか……?」
「もちろんよ。だってうちは飲食店よ?なのにお客さんを入れないなんておかしいでしょ?」
その人は店の中に案内してくれた。
私はカウンター席に座りメニューを見た。
「今日のおススメでお願いします」
メニューを見ても何が何だかわからないのでおススメにしておこう。
それにしても私以外の客が見当たらない。
「はい、どうぞー……あなた以外のお客さんは今はいないわ。ゆっくり休んでね」
「あ、ありがとうございます!」
「これはかぼちゃの海苔風味チーズ焼きよ。お客さんのお顔が疲れているみたいだから肌荒れ対策としても役立つ料理よ」
そんな効果まであるんだ。
とても美味しそう。
「そうだわ。名乗り遅れたけれど、私はこの店‘’月の癒し屋‘’店主の今泉月華と言います。よろしくお願いしますね」
「天宮梨々花です。……こんなに美味しいお料理食べたの初めてです……!」
「本当?嬉しいわ。梨々花さんって呼んでもいいかしら?私のことは月華って呼んでくれていいからね」
こんなにフレンドリーな方初めて見たかも。
「梨々花さんは最近疲れているの?」
「はい……そうなんです。私、社会人一年目で、北海道からこの間こっちに来たんですけど、知らないことが多くてミスしてばっかりで……っ」
私の話を最後まで真剣に聞いてくれる月華さん。
「……私も北海道出身なのよ?私は高校の時にこっちに来たのだけど、ここと北海道は全然違くてビックリしたんだから。誰でも初めてのことは怖くて不安になるわ。でも、梨々花さんのお母さまはそういう体験もしてほしかったんじゃないかしら」
どういうことだろう。
「悪い意味じゃないわ。これは梨々花さんだけじゃないけれど、誰だって親が先にいなくなってしまうでしょ?梨々花さんのお母さまはそう考えた時、梨々花さんが一人でもちゃんと生きていけるように東京に働きに行きなさいって言ったんじゃないかしら」
お母さん……。
そう思うとこんなことはかすり傷でもなんでもない。
「少しは役に立ったかしら」
「はい……!ありがとうございます!あと、美味しいお料理も!」
そう言って私は家に帰った。
次の日に会社に行った。ミスをしてもちゃんと反省して次に活かす。
そう心で誓ったのだった。
今日もまた月の癒し屋に行こう。
「いらっしゃいませー……って、梨々花さん。今日はなに食べる?」
ふわりと笑う月華さん。
「えっと、じゃあ、わさび醤油のサラダでお願いします」
「はーい、お待たせしました。これはむくみ対策としても優秀よ。むくみは冷えから来てしまうこともあるからお白湯を飲んだりすることをおススメするわ。それと、塩分の摂り過ぎがむくみの原因になるから、このサラダに入っているアボカド、トマトなどに含まれるカリウムを摂取すると良いの」
丁寧に説明してくれるから勉強にもなる。
「そうなんですね!……あ、あの。今度お出かけに行きませんか?」
「素敵ね、それ!行きましょ?」
「本当ですか?」
「ええ。もちろんよ」
こうして月華さんと出かけることになった。