『公爵の新妻でしたか』
鬼束の挑戦的な目が忘れられなかったせいかもしれない。
彼の心を覗こうとして、またしてもすぐ目を逸らされてしまったが、心を覗くまでもなくわかる。
鬼束が伽夜を見る目の輝きは、ほかの女を見る目とは明らかに違っていた。
海棠杏に話しかけられたせいで、束の間だが伽夜と鬼束はふたりきりにしてしまったのが悔やまれる。
なぜ、鬼束は玉森家に行ったのか。
(伽夜が欲しいのか?)
こみ上げる怒りが欲情に変わる。
「伽夜? 鬼束となにを話していた?」
顎をすくい、潤んだ瞳の伽夜に問いかけた。
「ドレスを、褒められました」
心が見えないなら身体に聞こうと、加虐的な念に囚われる。
「本当に? それだけか?」
うなずく伽夜の唇を吸う。
『 悋気 (りんき)ですか? あなたらしくもない』
鬼束の声が脳裏をよぎり、
この胸で燃える炎がなんであれ、伽夜はお前には渡さないと心で返した。
(伽夜、離縁など絶対に許さない)
鬼束の挑戦的な目が忘れられなかったせいかもしれない。
彼の心を覗こうとして、またしてもすぐ目を逸らされてしまったが、心を覗くまでもなくわかる。
鬼束が伽夜を見る目の輝きは、ほかの女を見る目とは明らかに違っていた。
海棠杏に話しかけられたせいで、束の間だが伽夜と鬼束はふたりきりにしてしまったのが悔やまれる。
なぜ、鬼束は玉森家に行ったのか。
(伽夜が欲しいのか?)
こみ上げる怒りが欲情に変わる。
「伽夜? 鬼束となにを話していた?」
顎をすくい、潤んだ瞳の伽夜に問いかけた。
「ドレスを、褒められました」
心が見えないなら身体に聞こうと、加虐的な念に囚われる。
「本当に? それだけか?」
うなずく伽夜の唇を吸う。
『 悋気 (りんき)ですか? あなたらしくもない』
鬼束の声が脳裏をよぎり、
この胸で燃える炎がなんであれ、伽夜はお前には渡さないと心で返した。
(伽夜、離縁など絶対に許さない)