次の夜。
お風呂に入った伽夜はいったん自分の部屋に来た。
涼月はすでに自分の部屋にいる。
待たせてはいけないような、いそいそと行くのも恥ずかしいような、揺れる気持ちに心が揺れた。
「なんだ。今日も行ってしまうのかい?」
屏風の付喪神が「寂しいねぇ」と溜め息をつく。
「これからしばらくは涼月様と一緒に寝ることになったの」
「ふぅん」
「彼は怪我をしているから」
だから一緒に布団に入っても、なにもしないのよと、心の中で言い訳をする。
聞かれてもいないのに。
「まぁ、あいつも伽夜が一緒のほうがなにかと好都合だろうし」
「それはどういう意味?」
「お前が忘れたものだよ」
それでも意味がわからずもう一度聞き返すと。
「酒呑童子を倒せば、鬼を支配したも同じだろ?」
茶碗がそう言った。
(えっ? ――私を通して、酒呑童子を倒す)