『死にたい。
明日、学校の屋上から飛び降りようと思う』
私がその一文と出会ったのは、学校の図書室だった。部活で提出する課題の息抜きに書架を見回っていると、本と本の間にノートがひっそりと挟まっていたのだ。
表紙を開いて一文目に飛び込んできた『死にたい』の四文字に、音のない叫びを耳元で食らったような衝撃が全身を貫く。
ノートをとっさに閉じて、誰かに見られていないかと周囲へ視線を巡らせた。さいわい昼休みの図書室には誰もいなくて、この席は図書委員からも死角だった。
「見間違い……?」
もう一度表紙を開いてみると、一ページ目の一文目にやっぱり『死にたい』と書かれていた。丁寧で芯がある文字だけど、ところどころが乱れている。
書かれた文字をなぞりながら、ゾッとした。
明日ここにノートを置いた誰かが、学校の屋上から飛び降りようとしてるんだ……。
どうしよう。こういうとき、どうすればいい……?
ノートを先生に預けたほうがいいんじゃないか。でももし誰かがSOSのために、ノートをわざわざ図書室に置いていたのだとしたら、捨てられたのだと勘違いして自殺を実行しまうかも。
私は気づけばシャープペンを手に持っていた。
『死なないでください』
走り書きしてノートを閉じ、見つけた書架の棚にそっと戻す。
同時に予鈴が鳴って、私は逃げるように図書室を後にした。
明日、学校の屋上から飛び降りようと思う』
私がその一文と出会ったのは、学校の図書室だった。部活で提出する課題の息抜きに書架を見回っていると、本と本の間にノートがひっそりと挟まっていたのだ。
表紙を開いて一文目に飛び込んできた『死にたい』の四文字に、音のない叫びを耳元で食らったような衝撃が全身を貫く。
ノートをとっさに閉じて、誰かに見られていないかと周囲へ視線を巡らせた。さいわい昼休みの図書室には誰もいなくて、この席は図書委員からも死角だった。
「見間違い……?」
もう一度表紙を開いてみると、一ページ目の一文目にやっぱり『死にたい』と書かれていた。丁寧で芯がある文字だけど、ところどころが乱れている。
書かれた文字をなぞりながら、ゾッとした。
明日ここにノートを置いた誰かが、学校の屋上から飛び降りようとしてるんだ……。
どうしよう。こういうとき、どうすればいい……?
ノートを先生に預けたほうがいいんじゃないか。でももし誰かがSOSのために、ノートをわざわざ図書室に置いていたのだとしたら、捨てられたのだと勘違いして自殺を実行しまうかも。
私は気づけばシャープペンを手に持っていた。
『死なないでください』
走り書きしてノートを閉じ、見つけた書架の棚にそっと戻す。
同時に予鈴が鳴って、私は逃げるように図書室を後にした。