しかしこれは明かさなければ埒も明かないと、意を決して白桜はたずねることにした。
本当は訊きたくないけど。そんな事実関わりたくないけど。
眉目にめちゃくちゃしわを寄せる。
「……冬湖、一つ訊きたいのだが、あなたが何かを習っているって、武道か……?」
「はい――というには、師匠は武術と言い張りますが」
「「………」」
白桜と黒藤は確信してしまった。
百合緋は意味がわからない話なので口は挟めなかった。白桜と黒藤の様子がおかしすぎてびびる。
「その方の名前って……」
白桜が問う。真剣な顔すぎて血の気がない。
「はい。我が師匠は、大和斎月様とおっしゃいます」
「「やっぱり姫かよ!!」」
「へ?」
白桜と黒藤の声がそろって、冬湖はきょとんとした。
「まじかよ……何やってんだよ姫……」
黒藤が両手で顔を覆ってうなだれた。
「まあ……姫の行動力なら何していてもおかしくはないんだけどな……はは……」
白桜はあまりのことにから笑いが浮かんでいる。
え、え、と困る冬湖は助けを求めて発狂しなかった百合緋を見やるが、百合緋も困惑の表情だ。
「……冬湖、姫とはどういう知り合いなんだ?」
改めて、白桜が尋ねる。
「あ、あの、御門様? 師匠は姫と呼ばれるようなお方なのですか?」
冬湖の方こそ事実を知らなかったようで、全身で困っている。
「まあ……簡単に言えば、司家の若当主の許嫁」
「……っ!? ひえっ!」
今度は冬湖の顔が青ざめた。
「し、師匠がそんなお方だったなんて……っ」
「知らなかったのか? なんで師匠なんて呼ぶ関係に……」