「……真紅を襲ったのは自分たちのためで、涙雨殿を双葉のエサにしたのは双葉のため、ということか?」
『然様(さよう)』
「うちの門前に連れてきた理由というのは?」
『……御門殿に双葉を見つけてほしかったからだ』
「なぜ」
『……我らは考えて話し合った。双葉とともに在る方法を。対を失えないのは、我らとて同じ』
「黒の使役に引き入れると?」
『いや、御門殿の使役としてもらおうと、決着がついた』
「……俺?」
『我が主殿は各地に使役が多い。これ以上を抱えるのは主殿の負担でもある。だが、御門殿は人が好過ぎて使役を持たないと聞いた。御門殿は我が主殿と親しい。その御門殿の下につけば、我らと離れずいられようと考えたのだ』
「………」
(………)
白桜は片手で頭を押さえて考えた。
「……つまり、自分たちが存在し続けるために、小路と御門を利用しようとしたということか」
『否定はせぬ』
「……黒、これは想定内か?」
「い、いや~、どうだろ……」
ということは、一葉の目的は知っていたということか。方法までは把握していなくても。
「はあ……」
「は、白~?」
「共犯」
「うっ」
「まあいいや。双葉、対の言葉はこうだが、あなたたちはどう考える?」
『………』
「すぐには答えらんないよな。だが一葉も裏切れないといったところか。もしも一葉の言葉に反対するなら、正々堂俺をぶちのめせばいい」
「!? 白――」
「「白桜様!?」」
黒藤に続いて、天音と華樹の声が重なった。