ため息をつく黒藤。
現在、その二人は厄介な状況にある。
だが黒藤たちが関わる人物では、今のところない。
「……今、在義にひとつ案件を回しています。小路からの命令で。それに在義は、貴女の弟を巻き込んだようですが?」
「あの子ならうまくやるでしょう。わたくしはあの子には関わるつもりはありませんわ」
「ならいい。下手に干渉されるとやりにくいんで」
「これでも黒藤さんと白桜さんに救われた身ですわ。先ほども言いましたが邪魔はいたしません」
「重畳(ちょうじょう)。またなんかあったら呼んでください。ここなら会えるだろうから」
「そうしますわ。ああ……本当に夜々ちゃん可愛い……早く咲桜の母になってほしい限りですわ」
「……あんたの娘の女好きってあんたからの遺伝?」
「否定はいたしませんわ」
否定してほしかった。すごくいい笑顔で言われた。
……まあいいか。華取桃子の娘にも、神宮美流子の娘にも関わらないだろうし。