その夜、わたしは思い切って古乃のアカウントを消した。一六〇〇人のフォロワーに向けて何かを呟くことはしなかった。
古乃はもういない。
優しいフォロワーにかまってもらうためでも、わたしに「二度と呟かないでほしい」と送って来た捨て垢を喜ばすためでもない。
かつて縋っていた自分を殺して気づくことがあるなら、わたしはその気づきを信じてみたいと思ったから。
よしの @Yoshino**reborn18 今
自分のこと、もっとちゃんと好きになりたいな
これは、わたしがわたしを認めてあげるための選択。
*
タイムラインを眺めていて、ふと流れて来た写真に目を奪われた。
翼 @247a**new 21時間前
海でギターを弾く女の子の写真に、言葉は添えられていなかった。
海の青が眩しくて、ギターが光っている。写真を撮ったのはアカウントの主である翼という人なのだろう。
「……すっごい、素敵だ」
海と、ギターと、きっとこの人にとっての大切な人。ただの他人でしかないわたしが見ても、その写真は愛しさで溢れていて、とても美しかった。