次の日の七時間目。



最後の授業が化学なんて
今日はついてない日だ。



先生が無機化学の話を始めたあたりで、ふいに昨日のことを思い出した。



あ、ノート!



急いで机の下に手をやると、
昨日とは少しずれた位置にそれはあった。



だれにも気付かれないようにノートを引っ張りだす。



中を開くと、
そこには整った三行目の文字が。



どくん、と心臓が跳ねる。



行を目で追うのすら
もどかしい。



『俺は特に無機化学が
なくなればいいと思う』



綺麗な字だ。



大人っぽい、整った文字。



何度も何度も
その簡素な言葉を読み返す。



どうしよう。



どうしようどうしようどうしよう!



返事が
きちゃったよ!