化学室のノート



「顔、赤いけど」



意地悪そうに話しかけてくる目の前の男を私はキッと睨んだ。



「あ、赤くなんてないですっ
さ、さよならっ!」



ガタッと席を立った拍子に机から落ちる私のシャーペン。



それを造作もなく彼は拾って私に差し出した。



「結局、最終日も落とすんだな、お前」



ぷっ、と笑ったその男からひったくるようにシャーペンを取り返す。



「………最っ悪」



最後は小さく自分に呟いて、
軽く会釈して逃げるようにその場を去った。



恥ずかしすぎる。



それに。



この男を不覚にもかっこいいなんて思ってしまう、自分がすごく恥ずかしかった。