化学室のノート



冬休みまで
残りわずかとなった。



あのひととのノートの話題も
音楽の話から冬休みの話へと変わった。



『講習、なくてもいいのに』



久しぶりに簡素な
その物言いに私は自然と微笑んだ。



きっとこのひとは
講習がすごくいやなんだろうな。



気持ちはわかる。



いくら午前授業だからといって、
冬休みの最初5日と最後5日、計10日も学校に来なければいけないと思うとゾッとする。



『ほんとだよね。
なんだか実際の休みより学校に出てくる期間のほうが長いんじゃないかって思っちゃう』



この頃になると、
ノートも10ページは使いきって、
言葉遣いもだいぶ砕けてきた。



あのひとの性格も
なんとなく分かってくるというものである。




理科社会の授業のみの冬季講習では、
一学年の全7クラスがバラバラになって授業をうける。



うちの学校は文系理系にクラスを分けることをしないので、どうしても理科や社会の授業ではバラバラになってしまうのだ。



……もしかしたら、講習の間だけは、同じクラスになるかもしれないんだ。



あのひとと。



「ま、結局は
だれか分からないんだろうけど」



小さく呟く私の声は
授業終了のチャイムの音にかき消された。