化学室のノート



こうしてノートを使って話しているから特別なんだ。



あのひとがどこの誰か分かってしまったら、
きっともうノートを使って会話をすることなんてなくなる。



たとえ、会った後にまたノートで話したとしても、……きっと印象は変わってしまう。



「もう少し、
このままがいいな」



願わくば、
春が来て三年にあがるまでは。



そっと、
目を閉じる。



この声は、あなたへの想いのようだ。



切ないような、
それでいてもどかしいような、



心を締め付けるような声色。




そして私はクッションを置いて机に向かう。




この歌詞の
英語と日本語訳をうつそう。




こんな素敵な曲をただ聞いて返すなんて
あまりにも芸がない。




「ぜんぶ、暗記してやる」




決意を新たに、
私はシャーペンを走らせはじめた。