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──シャー
「燈空!!何してる?」
部屋を区切っているカーテンが急に開いたと思ったら、彼女が笑顔で話しかけてきた。
今日は僕がこの部屋にきて2日目。昨日初めて会ったばかりだとは思えないくらい彼女はフレンドリーに接してくる。
僕は昔から、彼女みたいなタイプの女性と接したことがなかった。
学校では女子とは接しないし、話そうとも思わない。
唯一、幼稚園のころに仲の良い子がいたくらい。
でも、もう10年以上も前のことすぎてほとんど記憶に残っていない。
「どうしたの?父さんから渡された宿題をしようと思っていたところだけど」
「えー、入院しているのに宿題なんてやらされてるの〜?燈空のお父さん正気なのかな?」
「さ〜、多分普通じゃないと思う。だけどやらなかったら怒られるから」
「ふーん」と若干納得してなさそうな希心だけど、希心よりも父さんの方が怖いから遠慮なく渡されたテキストに手を伸ばした。
この多分普通の夏休みの課題よりも多いテキストをあと4日間で終わらせないといけない。じゃないとどうなるかわからない。
「でもさ、燈空は嫌になったりしないの?」
「何が?」
彼女はパイプ椅子を手に取り僕のベットの横に置いて座った。
「だから、そのお父さんから逃げたいって思ったことないの?昨日、燈空に会ったばかりで燈空のお父さんのこともよく知らない。でもだからこそ思うの」
「......」
「私だったら、逃げたいってなると思うよ。だって、入院しているのにその量の勉強道具を渡してくるのはおかしいと思う。それに、それもお父さんに出さないといけないんじゃない?」
「.....そう.....」
なんで、わかるの。僕、このテキストを父さんに出すだなんて一言も言いていない。なのに、なんでわかるの....
「でしょ!?いつまでに出すの?」
「今週の日曜....」
「えっ!?日曜って後4日しかないんだよ!?しかも燈空昨日この病室に来たのに....私だったら無理だよ」
「.....僕だって無理だよ.....」