「はぁ〜、やっぱりこのドラマは面白いな〜」
「すごいね、3時間も何も動かないで集中できるなんて...僕にはそんなに長い時間集中できないな....」
「燈空は、何かに集中したりするのはないの?例えば好きなこととか」
僕のことに興味があるからなのかわからないけど、僕の顔をじっと見つめてくる。
僕に興味があることなんてない。だって、全て父さんの言うことに従わさせられていたから。
習い事も、勉強も。テレビもスマホの時間だって。
父さんが絶対だったから....僕たちはそれに従わなければならなかった。
もしも一回でも父さんの言うことに従わずに自分の意見を素直に言えていたら、こんなにもギクシャクしないで生活ができていたのだろうか。
全部諦めていたから悪かったのかな?父さんのことも、優燈のことも....
「燈空!?大丈夫?どうしたの急に黙っちゃって。聞いちゃいけないことだった?」
希心の言葉で我に帰った。どんどんと気持ちが落とされていっていた。
「いや、大丈夫。好きなことは...ないんだ。特に」
「そうなんだ。だったらこれから探せばいいよ!まだ高校生なんだもん。人生100年時代って言われているんだからまだまだ先は長いよ!」
本当に僕と希心は真逆な性格なんだと思う。
僕は彼女みたいに明るくない。あの頃からずっと暗い。
彼女はポジティブに考えて、前向きに物事を捉えられている。
でも僕には、それができない。
僕が入院している間なら友達になってあげるといったけど、こんなにも性格が真反対だったらずっと一緒になんていられないと思う。
きっと希心も僕とは合わないなと思うはずだ。
「そうだね、これから見つければいいよね」
「そうだよ!!」
ニコニコと笑う彼女に僕みたいにネガティブになることはあるのだろうか。
人生を楽しく過ごしていない僕みたいに、なったことはあるのだろうか。
僕も希心みたいに毎日楽しく人生を過ごしたかった。
いつか、僕もそんな日が来るのだろうか。
来るといいな...多分無理だけど