なんとか大友さんを上手く帰宅させることに成功させると、僕は外れかけたガラスの玄関扉を慎重に閉め、再び作業机に向かった。
すっかり冷めてしまったコーヒーを多めに啜り、カフェインと一緒に大友さんへの罪悪感を一気に体内への奥深い部分に落とし込んだ。
デスクトップのサイドバーにあるカレンダーを見ながら、わずかに大友さんは学校での生活を想像したが、これ以上彼女のことを考えるのは不毛だと思い、すぐに画面に並ぶ文章に意識を集中し直す。
ようやく仕事に集中し始めた頃、今度は町長さんが掃除当番表を届けに訪れた。
その2時間後には、向かいのおじさんが庭の畑で採れた大根を持ってきてくれて、僕の集中力は再び強制的に削がれる。興味がないからか、向かいのおじさんの名前は、何度聞いても覚えられない。
思うように集中ができないが、そんなことお構いなしに迫ってくる納期。
会社員であれば納期に間に合わなくても評価が落とされるがクビになることはほとんどない。けれど自分で請負の仕事を始めるとなると話は別だ。
納期に間に合わなかったり、記事が依頼主が納得できなかったりすれば次はない。毎月決められたお金が入ってくることもないし、有給という言葉は死語へと変わる。
逆を言えば納期を守り、依頼主の要望通りのものが納品できれば、時間も場所も関係なく働ける。なるべく自宅に引きこもりたい僕にとって好都合であるのもこの仕事だ。
幸い前職が技術職だったため、僕は”技術系ライター”という肩書きを持って活動を始めると、すぐに仕事が入ってきた。1年ほど続けるうちに、会社員時代の給料を上回るくらいの売り上げを記録する月も出てきた。
ただ、所詮ライターという仕事は水物だ。
不規則な生活が祟り、大きく体調を崩してしまった月があったが、その時の売り上げは学生時代にアルバイトをしていた時よりも遥かに少なかった。
当たり前だが、手と頭が動かなければ、文章を生み出せない。生み出せなければ、生きていくことさえできない。
そんな緊張感に堪えられず、最近は書店でアルバイトをするようになったのだ。
すっかり冷めてしまったコーヒーを多めに啜り、カフェインと一緒に大友さんへの罪悪感を一気に体内への奥深い部分に落とし込んだ。
デスクトップのサイドバーにあるカレンダーを見ながら、わずかに大友さんは学校での生活を想像したが、これ以上彼女のことを考えるのは不毛だと思い、すぐに画面に並ぶ文章に意識を集中し直す。
ようやく仕事に集中し始めた頃、今度は町長さんが掃除当番表を届けに訪れた。
その2時間後には、向かいのおじさんが庭の畑で採れた大根を持ってきてくれて、僕の集中力は再び強制的に削がれる。興味がないからか、向かいのおじさんの名前は、何度聞いても覚えられない。
思うように集中ができないが、そんなことお構いなしに迫ってくる納期。
会社員であれば納期に間に合わなくても評価が落とされるがクビになることはほとんどない。けれど自分で請負の仕事を始めるとなると話は別だ。
納期に間に合わなかったり、記事が依頼主が納得できなかったりすれば次はない。毎月決められたお金が入ってくることもないし、有給という言葉は死語へと変わる。
逆を言えば納期を守り、依頼主の要望通りのものが納品できれば、時間も場所も関係なく働ける。なるべく自宅に引きこもりたい僕にとって好都合であるのもこの仕事だ。
幸い前職が技術職だったため、僕は”技術系ライター”という肩書きを持って活動を始めると、すぐに仕事が入ってきた。1年ほど続けるうちに、会社員時代の給料を上回るくらいの売り上げを記録する月も出てきた。
ただ、所詮ライターという仕事は水物だ。
不規則な生活が祟り、大きく体調を崩してしまった月があったが、その時の売り上げは学生時代にアルバイトをしていた時よりも遥かに少なかった。
当たり前だが、手と頭が動かなければ、文章を生み出せない。生み出せなければ、生きていくことさえできない。
そんな緊張感に堪えられず、最近は書店でアルバイトをするようになったのだ。