地元から遠く離れた縁もゆかりもないこの地域でたまたま見つけた古い一軒家。
高校を卒業してすぐに地元の大手工作機メーカーに就職した僕は、2年も経たないうちにその会社を辞め、隠れるようにここに住んでいる。
この物件を紹介してくれたのは、田舎移住を支援する団体だった。
団体といっても、県や市などの役所が実施しているようなお堅いものではなく、都会からIターンしてきた若者が個人で立ち上げた小さな会社だった。
そこのSNSを覗いてみると、さほど大きく歳が離れていないであろう男女が少人数で運営してる様子で、もともと警戒心が強い僕は大きな抵抗を感じることはなかったから思い切って連絡を取ってみると、快くこの家を案内してくれたというわけだ。
広報の小池さんは低姿勢で柔らかい言葉を使い、いかにも人がよさそうな印象だった。
小池さんは話している最中、何度もこちらの様子を伺っているような気配を向けてきたのは、きっと僕がどういう人間なのかを測っていたのだろう。
もっとも、外から来た見ず知らずの人間に家を貸すというリスクを考えると、相手がどんな人間なのかを探るのは至極当然のこと。
だから僕は「最近ライターとして独立を始め、日本全国を転々としながら働いているうちに、この地域を気に入ったので拠点を設けたいと考えている」と、事実にいくつか都合の良い嘘を織り交ぜて言った。
小池さんはすんなりとそれを受け入れ、一人暮らしの僕にぴったりだとこの家を紹介し、大家さんとの家賃交渉まで行ってくれた。
おまけに周辺地域の農業イベントなどの情報も教えてくれたのだが、その辺りで僕は申し訳ないと思いながらも丁重に断った。だって参加しないだろうから。
高校を卒業してすぐに地元の大手工作機メーカーに就職した僕は、2年も経たないうちにその会社を辞め、隠れるようにここに住んでいる。
この物件を紹介してくれたのは、田舎移住を支援する団体だった。
団体といっても、県や市などの役所が実施しているようなお堅いものではなく、都会からIターンしてきた若者が個人で立ち上げた小さな会社だった。
そこのSNSを覗いてみると、さほど大きく歳が離れていないであろう男女が少人数で運営してる様子で、もともと警戒心が強い僕は大きな抵抗を感じることはなかったから思い切って連絡を取ってみると、快くこの家を案内してくれたというわけだ。
広報の小池さんは低姿勢で柔らかい言葉を使い、いかにも人がよさそうな印象だった。
小池さんは話している最中、何度もこちらの様子を伺っているような気配を向けてきたのは、きっと僕がどういう人間なのかを測っていたのだろう。
もっとも、外から来た見ず知らずの人間に家を貸すというリスクを考えると、相手がどんな人間なのかを探るのは至極当然のこと。
だから僕は「最近ライターとして独立を始め、日本全国を転々としながら働いているうちに、この地域を気に入ったので拠点を設けたいと考えている」と、事実にいくつか都合の良い嘘を織り交ぜて言った。
小池さんはすんなりとそれを受け入れ、一人暮らしの僕にぴったりだとこの家を紹介し、大家さんとの家賃交渉まで行ってくれた。
おまけに周辺地域の農業イベントなどの情報も教えてくれたのだが、その辺りで僕は申し訳ないと思いながらも丁重に断った。だって参加しないだろうから。