閉店時間に合わせてお客さん用の出入り口のシャッターを閉め終えると、僕と一ノ瀬さんはバックヤードに向かう。
翌日発売の雑誌や書籍が届いたため、受け取りを行うのだ。
運送会社のトラックは閉店時間に合わせてシャッター前の駐車場に待機している。
納品用の業務シャッターを開け、背の高さくらいある籠台車をドライバーさんに引き渡すと、雑誌の束や書籍が詰まった段ボールを載せてくれる。
一杯になった籠台車を引き入れるのは僕の役割で、その間一ノ瀬さんは、実際に納品された数と納品書に書かれた数字が合っているかチェックし、最後に受け取り完了のサインをしてドライバーさんに渡す。
一連の作業を終えると、今度は開店前に売り場に並べる雑誌や新刊書籍が入っている段ボールを仕分けて置いておく。
雑誌や書籍は納品時に段ボールに入っていたり、紐で束ねられているが、これが結構な重さがある。身体を動かすことが少なくなった僕にとっては良い運動の時間だが、一ノ瀬さんにとっては最大の関門だ。
彼女はよろよろしながら段ボールを降ろしている。
あまり気を遣いすぎると下心を持っているように思われたり、逆に申し訳ないと思わせたりするだろうから、さり気なく大きい段ボールを運ぶようにする。息が上がらないようにするのも忘れない。
「藤野店長。荷受け終わりました」
「ご苦労さま。二人共、先にあがっていいよ」
藤野店長は最後に売上金の集計と送金を行わなければいけないため、バイトの僕達は先に退勤する。
売上金の精算ができるのは社員さんだけだが、この精算作業は毎日行わなければならない。
藤野店長が休みの時は、他店から応援にくる社員さんがわざわざ精算だけ行いにやってくるのだ。
以前は藤野店長以外にもう一人社員さんがいたみたいだが、棚卸し前に突然姿を消してしまったらしい。
右肩下がりの業界で報酬も待遇も決して良いほうでなく、極限まで削られる人件費のため仕事量だけが増えていく。そんな書店での仕事に嫌気がさしたらしい。
もともとこのお店は人件費がオーバーしているという問題を抱えていたらしく、社員さんの退職以降、人員の補充は行わず、今の体制になったらしい。
幸いお店には勤務経験が長いベテランスタッフや、書店の店長経験があるスタッフがいたから、お店はなんとか回せる状態だったらしい。
この話を聞いた時、いやここは頑張るところではないだろうと突っ込みたくなったが、最終的に決めたのは藤野店長らしかったから、僕はこれ以上何も考えないようにした。
翌日発売の雑誌や書籍が届いたため、受け取りを行うのだ。
運送会社のトラックは閉店時間に合わせてシャッター前の駐車場に待機している。
納品用の業務シャッターを開け、背の高さくらいある籠台車をドライバーさんに引き渡すと、雑誌の束や書籍が詰まった段ボールを載せてくれる。
一杯になった籠台車を引き入れるのは僕の役割で、その間一ノ瀬さんは、実際に納品された数と納品書に書かれた数字が合っているかチェックし、最後に受け取り完了のサインをしてドライバーさんに渡す。
一連の作業を終えると、今度は開店前に売り場に並べる雑誌や新刊書籍が入っている段ボールを仕分けて置いておく。
雑誌や書籍は納品時に段ボールに入っていたり、紐で束ねられているが、これが結構な重さがある。身体を動かすことが少なくなった僕にとっては良い運動の時間だが、一ノ瀬さんにとっては最大の関門だ。
彼女はよろよろしながら段ボールを降ろしている。
あまり気を遣いすぎると下心を持っているように思われたり、逆に申し訳ないと思わせたりするだろうから、さり気なく大きい段ボールを運ぶようにする。息が上がらないようにするのも忘れない。
「藤野店長。荷受け終わりました」
「ご苦労さま。二人共、先にあがっていいよ」
藤野店長は最後に売上金の集計と送金を行わなければいけないため、バイトの僕達は先に退勤する。
売上金の精算ができるのは社員さんだけだが、この精算作業は毎日行わなければならない。
藤野店長が休みの時は、他店から応援にくる社員さんがわざわざ精算だけ行いにやってくるのだ。
以前は藤野店長以外にもう一人社員さんがいたみたいだが、棚卸し前に突然姿を消してしまったらしい。
右肩下がりの業界で報酬も待遇も決して良いほうでなく、極限まで削られる人件費のため仕事量だけが増えていく。そんな書店での仕事に嫌気がさしたらしい。
もともとこのお店は人件費がオーバーしているという問題を抱えていたらしく、社員さんの退職以降、人員の補充は行わず、今の体制になったらしい。
幸いお店には勤務経験が長いベテランスタッフや、書店の店長経験があるスタッフがいたから、お店はなんとか回せる状態だったらしい。
この話を聞いた時、いやここは頑張るところではないだろうと突っ込みたくなったが、最終的に決めたのは藤野店長らしかったから、僕はこれ以上何も考えないようにした。