病院の建物を出た途端、ポケットの中にあるスマホが振動した。駅に向かいながらメッセージを確認すると、見慣れた人影が近付いてきた。
「遅くなってすみません」
「一ノ瀬さん」
急いで駅から向かってきたのだろう。一ノ瀬さんは息を切らせていた。彼女は乱れた息を整えることもせず、食い入るように僕に訊いた。
「大友ちゃん……どうでした?」
「しばらく安静が必要だけど、大事ではないみたいだよ。もう大丈夫。心配いらない」
僕がそう言うと、一ノ瀬さんは穏やかな表情を浮かべて「よかった」と言った。
「せっかくだけど、面会時間も過ぎてるから、今日は帰ろう」
「はい。また後日会いに行きます」
「喜ぶと思う」
電車内で海猫堂のことを訊いてみると、どうやら誠司さんは再び長期離脱になるらしい。
郁江さんも元々体力がある方ではないため、海猫堂はしばらくの間、営業時間を短縮し、ドリンクのみ提供する形態に変更するようだ。
もちろん一ノ瀬さんも可能な限り手伝うと言っていたが、それでも自転車操業に変わりはない。
この世界に安寧は無い。だから僕らは身を寄せ合って生きていくしかない。
「遅くなってすみません」
「一ノ瀬さん」
急いで駅から向かってきたのだろう。一ノ瀬さんは息を切らせていた。彼女は乱れた息を整えることもせず、食い入るように僕に訊いた。
「大友ちゃん……どうでした?」
「しばらく安静が必要だけど、大事ではないみたいだよ。もう大丈夫。心配いらない」
僕がそう言うと、一ノ瀬さんは穏やかな表情を浮かべて「よかった」と言った。
「せっかくだけど、面会時間も過ぎてるから、今日は帰ろう」
「はい。また後日会いに行きます」
「喜ぶと思う」
電車内で海猫堂のことを訊いてみると、どうやら誠司さんは再び長期離脱になるらしい。
郁江さんも元々体力がある方ではないため、海猫堂はしばらくの間、営業時間を短縮し、ドリンクのみ提供する形態に変更するようだ。
もちろん一ノ瀬さんも可能な限り手伝うと言っていたが、それでも自転車操業に変わりはない。
この世界に安寧は無い。だから僕らは身を寄せ合って生きていくしかない。