ファミレスに来る人間が、いつも同じコンディションとは限らない。
 今、鈴木、沙織を中心とする二年特進コースの生徒たちの間には、重苦しい雰囲気が漂っていた。

「おい、結城」

 鈴木が珍しく声を荒げた。

「『陰キャラ』で『ぼっち』で『清掃業者』がスクールカーストのトップだと? オレは絶対こんなラスト認めんからな。何とかしろ」

 沙織は鈴木が口を尖らせている横で、優雅にアップルティを楽しんでいる。

「分かってる。まだ最終計画が残ってるんだ」

 少し離れた席で、彼らのやりとりをそっと聞いている人間がいることを、二年特進コースのカーストトップは知らない。