裏切られた、なんて思っていない。けれど、彼がいなくなる度に、私は永にとって大切じゃない、所詮ネット住民なのだと突き付けられた。悲しくてたまらなかった。また戻ってこないかなと祈り続けた。

「それに言ってただろ、今までの永が作り物の永でも、絶対どっかに本当のことを話してくれた永もいるって」

 確かに言ったことがある。
 まだ出会って間もない頃のこと。

──所詮ネット住民の 俺の事 そんなに信じるなよ。嘘ついてる 作り物の俺 かもしれないぞ。
――いいよ、それでも。作り物でも楽しいし、今までの永が作り物の永でも、絶対どっかに本当のことを話してくれた永もいるでしょ? だからいい。
──変な奴。
──変じゃないよ! そんなことにこだわらないってこと!

 今でも、そう思っている。私は基本なんでもそうで、ノンフィクションや心霊番組でも同じ。嘘でも本当でも、楽しければそれで良い性質なのだ。

 その言葉を覚えてくれていたなんて。届いていた実感で、熱いものが込み上げてくる。