しかし、それも長くは続かない。
 その頃になると永のバイトの時間を把握していたから、まだ返事が来ないことを見越して、私は携帯電話から離れた。

 それが間違いだった。

 充電を終えた頃だろうと携帯電話を手に取り、サイトに向かうとメッセージが一件。休憩時間にでも送ってきたのかな、と開く。時間はほんの数分前。彼の名前には、退会済み、という文字が並んでいた。

 血の気が引いた。地に足がついているのに、まるで無重力状態のように、足の感覚がなく、メッセージを読むと、霞んで画面が見えなくなった。

──やっぱり 駄目だ。突然だけど 俺は 退会するよ。ごめんな ネットは 所詮 ネットなんだ。俺も 依存 だと思う。リアルに支障を 来たしてる。じゃあな 元気で。

 急いで返信しようとしたが、退会済みです、と当たり前のように言われ、私はもう彼がいないことを察する。繋がっていた糸がパチンと切られたように、呆気なく。

 ほんの数分前のこと。食事なんか早めに終わらせれば良かった。やっぱり携帯電話を手放したら駄目だった。