けれど彼のバンドメンバーはその恋を反対した。携帯電話に固執する永を見かねてのこと。遊んでいる時も、練習をしている時も、食事時も、風呂の間も、寝る時だって、彼は肌身離さず携帯電話に夢中になった。

 それは私も同じだった。勉強が捗らなくなり、唯一出来た女友達との時間も切り捨て、体力のない私が寝る間も惜しんでメッセージを送り合った。

 そんな時間は長くは続かなかった。

──依存してるって 言われた。不毛だとも。

 口火を切ったのは、彼。私は、初めて言われた言葉なのに、やけに鼓動が高鳴った。嫌な汗が流れていた。

──依存なの? 私は永のこと、好きだよ。良い友達が出来たって思ってるもん。

 私たちは恋に落ちたけれど、あまりにも未成熟すぎた。まだ恋とは呼ばない時期のこと。
 俺に恋をしないで。そう言われたから、永と話したいがために私は友達だと思い込むことにした。

──俺もだよ。
――でも、私も同じこと言われたよ。

 それは、兄妹がチクリ合うような。共通の言葉に親近感を覚えて、反発するように、より一層私たちはやり取りをすることにした。