穏やかな一日 其の一
高校を卒業して春休みになった。引っ越しも無いので大学の入学式まで暫く暇である。
まだ朝9時。今日は颯さんとゆっくりしたいな。とか、一日笛の練習でもしてようかな。とか考えていたら、ピロン♪という音がしてメールが来た。瑠衣からだ。
”引っ越しの片づけが終わったよ。夏休みに絶対遊びに来てね!待ってるから(^U^)ノ~YO”
”お疲れ様。ゆっくり休んでね♡休みになったら絶対行くからね~😊”と返信した。
” こっちは空気も水も雰囲気も違って馴染めるか不安だよ(>_<) ”
”瑠衣ならきっと大丈夫。元気出して顔晴れ!(^^)!”
”うん、ありがとヾ(≧▽≦*)o明日香もガンバ!”
” いつでもメール受け付けます~^_- ”
” (≧∀≦)ゞ ”
など、お互い顔文字絵文字駆使して精一杯の気持ちを伝え合った。
その後もこれから始まる大学生活の不安と期待が入り混じったメールのやり取りをお互い心ゆくまで堪能したのだった。
穏やかな一日 其の二
今年は気温がいつもより高く、3月下旬だというのに花が一斉に開花した。梅、桜、水仙、花桃、タンポポからオオイヌノフグリといった雑草花、モクレン、雪柳など、ありとあらゆる花が咲いた。
こんなことは初めてだ。N県は冷涼な地域なので、梅やタンポポは3月下旬に咲いても桜や雪柳、花桃等は4月に入って順々に咲くのが当たり前だった。こんなに一斉に咲いてしまっては、一斉に散ってしまうので後の楽しみが無い。でも今は物凄く綺麗だ。自然は時々悪戯するのが好きなようである。
こんなことは初めてだし、折角なので颯さんと裏の山へ散策に出かけた。
颯さんは白銀のサラサラの長い髪を濃紺の髪紐で結び、着流し姿。異常にカッコ良くて艶っぽい。その姿に思わずドキドキしてしまう。
いつものように他の人には姿を見せないのかと思っていたら、なんと見せていた。
お寺の周囲にいた観光客はあまりの美しさとダダ洩れしている色気に唖然、呆然、驚愕し、すれ違う人全員が颯さんの姿に見惚れていた。
颯さんの横を歩く私は居た堪れないが、二人でのんびり桜のトンネルを歩く。
後ろからの視線が刺さって非常に痛かった。
それでも颯さんと一緒に居られるのは本当に嬉しい。
「はあ。とても綺麗ですね~!颯さんとのんびりお散歩出来て嬉しいです。」
「ふふ。そうだね。私も嬉しい。」
「今日はなんで姿を見せたんですか?」
「う~ん。悪戯かな?!花が一斉に咲いて綺麗だったからね。」
「えぇ?自然の悪戯と同じだと?姿見せたからパニックじゃないですか。それに花が翳むし。」
「一時の事など皆すぐに忘れるし、花と一緒に幻を見たと思うんじゃないかな。」と悪戯っぽく笑った。
「観光客なら兎も角、近所の人は私の顔が分かってるから、問い詰められたらどうするんですか?!」
「もう夫婦だけど、将来の夫だと言えばいい。子供が出来たら姿は隠さないからね。」
「・・・・。」
こうして散歩の間中、人の視線に晒され続けたのだった。
高校を卒業して春休みになった。引っ越しも無いので大学の入学式まで暫く暇である。
まだ朝9時。今日は颯さんとゆっくりしたいな。とか、一日笛の練習でもしてようかな。とか考えていたら、ピロン♪という音がしてメールが来た。瑠衣からだ。
”引っ越しの片づけが終わったよ。夏休みに絶対遊びに来てね!待ってるから(^U^)ノ~YO”
”お疲れ様。ゆっくり休んでね♡休みになったら絶対行くからね~😊”と返信した。
” こっちは空気も水も雰囲気も違って馴染めるか不安だよ(>_<) ”
”瑠衣ならきっと大丈夫。元気出して顔晴れ!(^^)!”
”うん、ありがとヾ(≧▽≦*)o明日香もガンバ!”
” いつでもメール受け付けます~^_- ”
” (≧∀≦)ゞ ”
など、お互い顔文字絵文字駆使して精一杯の気持ちを伝え合った。
その後もこれから始まる大学生活の不安と期待が入り混じったメールのやり取りをお互い心ゆくまで堪能したのだった。
穏やかな一日 其の二
今年は気温がいつもより高く、3月下旬だというのに花が一斉に開花した。梅、桜、水仙、花桃、タンポポからオオイヌノフグリといった雑草花、モクレン、雪柳など、ありとあらゆる花が咲いた。
こんなことは初めてだ。N県は冷涼な地域なので、梅やタンポポは3月下旬に咲いても桜や雪柳、花桃等は4月に入って順々に咲くのが当たり前だった。こんなに一斉に咲いてしまっては、一斉に散ってしまうので後の楽しみが無い。でも今は物凄く綺麗だ。自然は時々悪戯するのが好きなようである。
こんなことは初めてだし、折角なので颯さんと裏の山へ散策に出かけた。
颯さんは白銀のサラサラの長い髪を濃紺の髪紐で結び、着流し姿。異常にカッコ良くて艶っぽい。その姿に思わずドキドキしてしまう。
いつものように他の人には姿を見せないのかと思っていたら、なんと見せていた。
お寺の周囲にいた観光客はあまりの美しさとダダ洩れしている色気に唖然、呆然、驚愕し、すれ違う人全員が颯さんの姿に見惚れていた。
颯さんの横を歩く私は居た堪れないが、二人でのんびり桜のトンネルを歩く。
後ろからの視線が刺さって非常に痛かった。
それでも颯さんと一緒に居られるのは本当に嬉しい。
「はあ。とても綺麗ですね~!颯さんとのんびりお散歩出来て嬉しいです。」
「ふふ。そうだね。私も嬉しい。」
「今日はなんで姿を見せたんですか?」
「う~ん。悪戯かな?!花が一斉に咲いて綺麗だったからね。」
「えぇ?自然の悪戯と同じだと?姿見せたからパニックじゃないですか。それに花が翳むし。」
「一時の事など皆すぐに忘れるし、花と一緒に幻を見たと思うんじゃないかな。」と悪戯っぽく笑った。
「観光客なら兎も角、近所の人は私の顔が分かってるから、問い詰められたらどうするんですか?!」
「もう夫婦だけど、将来の夫だと言えばいい。子供が出来たら姿は隠さないからね。」
「・・・・。」
こうして散歩の間中、人の視線に晒され続けたのだった。