「アルドブラノ様!!」
グーリオの町に戻り、今回の戦闘の経緯と結果を記した手紙を王城へと送ったアルドブラノ子爵。
一緒に戻って来ていたヴァスティノ男爵とガリエラ男爵と共に、いつでも出撃できるようにしつつも体を休めていた。
夜になり、突如として部下がアルドブラノを起こしに来た。
その慌てた様子に跳び起きると、そのまま部下に治療室へと案内された。
「っ!! 君は公爵家の………」
治療室のベッドに目を向けると、傷だらけの兵士が治療を受けていた。
アルドブラノは、その兵の顔に見覚えがあった。
公爵家に仕える兵で、当然彼もストヴァルテ公爵と共に砦にいるはずの人間だ。
「どうした!? 砦に何かあったのか!?」
怪我もしているし、砦にいるはずの彼がこんなところにいるということは、砦で何か起きたということだろう。
怪我の治療中ではあっても緊急事態だ。
砦へ向かうにしても、何があったのか知りたい。
「魔物が……突如…現れ…………」
「クッ! 気を失ったか!?」
怪我をしている兵は、何とか起きたことを報告しようと口を動かす。
しかし、話を最後まで話すことができずに、そのまま気を失ってしまった。
魔物により何かが起きたということは分かったが、どうせならどんな魔物によって被害を受けたのかも知らせてほしいところだった。
大怪我をしているが、とりあえず彼は命に別状はないとの話だ。
「皆に知らせろ! 砦が魔物によって何かしらの被害を受けているようだ!!」
「ハッ!」
呼びに来た部下に対し、アルドブラノはそのまま皆に知らせることを指示する。
指示を受けた部下の男は、すぐさま仲間の兵に知らせに向かった。
その報告はヴァスティノとガリエラの両男爵にも伝えられた。
「「アルドブラノ殿!」」
「お二人とも準備は宜しいですかな?」
「「えぇ!」」
彼らも急な召集になったが、最初から何かが起こる可能性を考えていたので、たいして時間のかからないうちに準備を整えたようだ。
兵たちも集まり、後は指示を待つばかりといったところだ。
「では、砦へ向けて進め!!」
「「「「「おぉー!!」」」」」
何の魔物かは分からないが、砦に被害を及ぼしているということだ。
酒を飲んでいた公爵には期待しないが、他の貴族たちのことが気になる。
彼らを救出するべく、アルドブラノたちはすぐさま砦へ向けて進軍することになった。
「スケルトン!?」
砦へ近付くにつれて、何の魔物から被害を受けていたのか分かった。
魔物と聞いていたが、アンデッド系の魔物であるスケルトンの大群だった。
砦の門が開かれており、スケルトンたちが砦内へ入って行っている。
「スケルトンを蹴散らし、生存者を救出するぞ!!」
「「「「「ハッ!」」」」」
動く人骨スケルトン。
持っている武器は、ただの木の棒のようだ。
動きは遅いが、囲まれてしまうと袋叩きにあってしまう。
まず、アルドブラノたちは、砦の門へと向かうスケルトンたちを駆逐することにした。
避難経路を作り、生存者を避難させるためだ。
「「「「「ハァー!!」」」」」
指示に従い、アルドブラノの兵たちはスケルトンへと襲い掛かっていく。
兵たちは連携して戦い、スケルトンたちを破壊していく。
そして、段々と門の周辺にいるスケルトンたちが減り、砦内の様子が見えるようになってきた。
「どうやら全滅はしていないようだな……」
部下が切り開いた道を抜けてアルドブラノが砦内へ入ると、ここに残してきた他の貴族の兵たちはスケルトンと戦っていた。
しかし、その姿は軽装。
寝ている所を突如襲われたのかもしれない。
「アルドブラノ子爵だ!! 窮地と聞き救援に来た!!」
「「「「「おぉ! アルドブラノ様!!」」」」」
戦っている者も、怪我を負い動けないでいる者もいる。
彼らを安心させるためにも、アルドブラノは砦内に響くように大きな声で叫んだ。
救援が来たことに気が付いた者たちにより、戦っていた兵たちからは喜びの反応が広がっていった。
アルドブラノたちの兵と生存していた兵たちは、協力してスケルトンたちを蹴散らし始めた。
「怪我人を一ヵ所に集めろ!!」
「兵たちは治療班の護衛をしろ!!」
アルドブラノだけでなく、ヴァスティノとガリエラの男爵たちも行動を指示する。
怪我人たちを治療するべく、兵たちの一部が2人の指示に従い行動を起こす。
一緒に来ていた治療班が、集められた怪我人たちの治療を始めた。
スケルトンたちの武器が木の棒だったのが功を奏したのか、怪我人は多いが死人は少ないようだ。
アルドブラノたちが来たことにより、砦内のスケルトンは段々減っていき、ようやく一段落がついてきた。
「他にも怪我人がいないか探すぞ!!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
残ったスケルトンを相手しつつ、アルドブラノは部下たちと共に砦内の生存者捜索に向かった。
階数が上がっていくと、貴族たちの生存者が見つかっていく。
異変に気付いて抵抗できた者たちほど軽傷で済んでいるようだ。
「……公爵閣下は?」
「……さぁ?」
ほとんどの貴族を救出し終え、他に残された者がいないか見渡した。
すると、この戦いでトップに立つべきストヴァルテ公爵の姿が見えない。
そのため、軽傷で済んだ貴族の一人に公爵の行方を問いかけたのだが、彼も戦うことに必死で公爵を気にかけている余裕がなかったらしく、アルドブラノの問いに首を傾げた。
「閣下!! 公爵閣下!!」
公爵の行方を捜し、アルドブラノと兵たちは砦内の部屋を捜索していく。
そして、アルドブラノがある部屋の扉を開くと、一人の人間が大量の血を流して横たわっているのを発見した。
丸々と肥え太った体型からいって、すぐにストヴァルテ公爵だと理解したアルドブラノは、すぐに駆け寄り生存確認を始めた。
「っ!! 死んでいる……」
脈を計ってみると、全く感じることができない。
どうやら息絶えているようだ。
高位貴族の死に驚きはしたが、アルドブラノは部屋の中を見てすぐにしょうがないことだと判断した。
少し飲むだけだと思っていたが、公爵は酔いつぶれるまで飲んだらしく、空いた酒瓶が数本テーブルの上に立っていたからだ。
そう思うと、公爵の死に対して何とも思わなくなり、むしろ無謀な指揮をとられることがなくなったと内心では安堵した。
「スケルトンが急に砦内に出現した?」
「はい……」
亡くなった者たちの遺体は魔法の指輪に収納し、アルドブラノはここに残っていた兵たちにどうしてこのような状況になったのかを尋ねると、多くの者たちがこのように荒唐無稽のようなことを言ってきた。
スケルトンが攻めてきたのではなく、湧き出るように出現したのだそうだ。
「……本当でしょうか?」
「信じがたいが、多くの者が同じようなことを言うのだからそうなのだろう」
聞いたことも無いような現象の報告に、ヴァスティノもすぐに受け入れられる心境ではない。
疑いの気持ちが捨てきれないでいるヴァスティノに対し、ガリエラは渋々といった感じでそのことを受け入れるつもりのようだ。
「ここはそのように魔物を出現させる細工がされているのかもしれない」
「なるほど。夜に発動するようにしかけられていれば、もしかしたら……」
スケルトンが出現した時の状況を知らないため、3人は本当なのか確定するものが何もない。
しかし、何かを出現させるという細工は、魔法陣を設置しておけばできないことではない。
犯人特定や現象を真似されないよう、発動後に消えるようにしているだろうから、証拠は見つからないだろう。
「まだ発動していない魔法陣があるかもしれない。念のため全員この砦から退避しろ!!」
「りょ、了解しました!!」
用意したトラップが一つだけとは限らない。
安心した所に第2陣ということになられては面倒だ。
そのため、アルドブラノは兵たちに退避の命令を飛ばした。
怪我人を連れた者を先頭に、アルドブラノたちは砦を捨てて一旦グーリオの町へと退避することにしたのだった。
◆◆◆◆◆
「冷たくて気持ちいい……」
ルイゼン領奪還戦が最初から苦戦しているのを知らず、前領主の娘のエレナは湖に足を付けて喜んでいた。
レオの人形体のお陰で、ようやく湖の魔物駆除が終了したのだ。
話に聞いていた湖に来ることをずっと楽しみにしていたエレナは、ようやく来られることになり嬉しいのだろう。
「まだ泳げるようにしていないから、膝より下を浸けるだけにしておいてね」
「はい! 分かりました!」
魔物は退治したが、湖底の整備はされていない。
もしも深いところで足がハマったりしたら危険なため、レオはエレナに忠告する。
エレナもここに来る前に何度も注意を受けているので、ちゃんと理解している。
『まぁ、多少何かあっても大丈夫な備えはしてあるけど……』
エレナが湖に行きたいというので、レオは他のみんなに相談した。
そうしたら、ガイオやドナートとヴィートが護衛でついて行くと言うし、女性の手が必要になるかもしれないと、ガイオの部下で女性部隊隊長のイメルダも付いてくることになった。
エレナが出かけるなら当然といった感じでセバスティアーノもいるし、過剰ともいえるような警護体制がとられている。
とは言っても、一番警護に気を使っているのはレオで、ロイたちの部隊を配置し、イルカ型人形たちも湖の中に潜ませている。
更に、戦力補充とも言うように人形兵に周囲を警戒させている。
よっぽど危険な魔物でも出ない限り、エレナに危険が及ぶことはないだろう。
「綺麗ですね……」
「気にいってもらえたかな?」
「はい!」
湖の水で涼んだ後、エレナはセバスティアーノが用意したお茶を飲んでみんなとこの場所の景色を眺めていた。
森と湖の景色に感動しているエレナに、レオは連れて来て正解だったと思った。
やはりエレナは笑っている方が似合っている。
そう思ったレオは、ファウストが言っていたようにこの場所の開発を行うことを前向きに考えることにした。
グーリオの町に戻り、今回の戦闘の経緯と結果を記した手紙を王城へと送ったアルドブラノ子爵。
一緒に戻って来ていたヴァスティノ男爵とガリエラ男爵と共に、いつでも出撃できるようにしつつも体を休めていた。
夜になり、突如として部下がアルドブラノを起こしに来た。
その慌てた様子に跳び起きると、そのまま部下に治療室へと案内された。
「っ!! 君は公爵家の………」
治療室のベッドに目を向けると、傷だらけの兵士が治療を受けていた。
アルドブラノは、その兵の顔に見覚えがあった。
公爵家に仕える兵で、当然彼もストヴァルテ公爵と共に砦にいるはずの人間だ。
「どうした!? 砦に何かあったのか!?」
怪我もしているし、砦にいるはずの彼がこんなところにいるということは、砦で何か起きたということだろう。
怪我の治療中ではあっても緊急事態だ。
砦へ向かうにしても、何があったのか知りたい。
「魔物が……突如…現れ…………」
「クッ! 気を失ったか!?」
怪我をしている兵は、何とか起きたことを報告しようと口を動かす。
しかし、話を最後まで話すことができずに、そのまま気を失ってしまった。
魔物により何かが起きたということは分かったが、どうせならどんな魔物によって被害を受けたのかも知らせてほしいところだった。
大怪我をしているが、とりあえず彼は命に別状はないとの話だ。
「皆に知らせろ! 砦が魔物によって何かしらの被害を受けているようだ!!」
「ハッ!」
呼びに来た部下に対し、アルドブラノはそのまま皆に知らせることを指示する。
指示を受けた部下の男は、すぐさま仲間の兵に知らせに向かった。
その報告はヴァスティノとガリエラの両男爵にも伝えられた。
「「アルドブラノ殿!」」
「お二人とも準備は宜しいですかな?」
「「えぇ!」」
彼らも急な召集になったが、最初から何かが起こる可能性を考えていたので、たいして時間のかからないうちに準備を整えたようだ。
兵たちも集まり、後は指示を待つばかりといったところだ。
「では、砦へ向けて進め!!」
「「「「「おぉー!!」」」」」
何の魔物かは分からないが、砦に被害を及ぼしているということだ。
酒を飲んでいた公爵には期待しないが、他の貴族たちのことが気になる。
彼らを救出するべく、アルドブラノたちはすぐさま砦へ向けて進軍することになった。
「スケルトン!?」
砦へ近付くにつれて、何の魔物から被害を受けていたのか分かった。
魔物と聞いていたが、アンデッド系の魔物であるスケルトンの大群だった。
砦の門が開かれており、スケルトンたちが砦内へ入って行っている。
「スケルトンを蹴散らし、生存者を救出するぞ!!」
「「「「「ハッ!」」」」」
動く人骨スケルトン。
持っている武器は、ただの木の棒のようだ。
動きは遅いが、囲まれてしまうと袋叩きにあってしまう。
まず、アルドブラノたちは、砦の門へと向かうスケルトンたちを駆逐することにした。
避難経路を作り、生存者を避難させるためだ。
「「「「「ハァー!!」」」」」
指示に従い、アルドブラノの兵たちはスケルトンへと襲い掛かっていく。
兵たちは連携して戦い、スケルトンたちを破壊していく。
そして、段々と門の周辺にいるスケルトンたちが減り、砦内の様子が見えるようになってきた。
「どうやら全滅はしていないようだな……」
部下が切り開いた道を抜けてアルドブラノが砦内へ入ると、ここに残してきた他の貴族の兵たちはスケルトンと戦っていた。
しかし、その姿は軽装。
寝ている所を突如襲われたのかもしれない。
「アルドブラノ子爵だ!! 窮地と聞き救援に来た!!」
「「「「「おぉ! アルドブラノ様!!」」」」」
戦っている者も、怪我を負い動けないでいる者もいる。
彼らを安心させるためにも、アルドブラノは砦内に響くように大きな声で叫んだ。
救援が来たことに気が付いた者たちにより、戦っていた兵たちからは喜びの反応が広がっていった。
アルドブラノたちの兵と生存していた兵たちは、協力してスケルトンたちを蹴散らし始めた。
「怪我人を一ヵ所に集めろ!!」
「兵たちは治療班の護衛をしろ!!」
アルドブラノだけでなく、ヴァスティノとガリエラの男爵たちも行動を指示する。
怪我人たちを治療するべく、兵たちの一部が2人の指示に従い行動を起こす。
一緒に来ていた治療班が、集められた怪我人たちの治療を始めた。
スケルトンたちの武器が木の棒だったのが功を奏したのか、怪我人は多いが死人は少ないようだ。
アルドブラノたちが来たことにより、砦内のスケルトンは段々減っていき、ようやく一段落がついてきた。
「他にも怪我人がいないか探すぞ!!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
残ったスケルトンを相手しつつ、アルドブラノは部下たちと共に砦内の生存者捜索に向かった。
階数が上がっていくと、貴族たちの生存者が見つかっていく。
異変に気付いて抵抗できた者たちほど軽傷で済んでいるようだ。
「……公爵閣下は?」
「……さぁ?」
ほとんどの貴族を救出し終え、他に残された者がいないか見渡した。
すると、この戦いでトップに立つべきストヴァルテ公爵の姿が見えない。
そのため、軽傷で済んだ貴族の一人に公爵の行方を問いかけたのだが、彼も戦うことに必死で公爵を気にかけている余裕がなかったらしく、アルドブラノの問いに首を傾げた。
「閣下!! 公爵閣下!!」
公爵の行方を捜し、アルドブラノと兵たちは砦内の部屋を捜索していく。
そして、アルドブラノがある部屋の扉を開くと、一人の人間が大量の血を流して横たわっているのを発見した。
丸々と肥え太った体型からいって、すぐにストヴァルテ公爵だと理解したアルドブラノは、すぐに駆け寄り生存確認を始めた。
「っ!! 死んでいる……」
脈を計ってみると、全く感じることができない。
どうやら息絶えているようだ。
高位貴族の死に驚きはしたが、アルドブラノは部屋の中を見てすぐにしょうがないことだと判断した。
少し飲むだけだと思っていたが、公爵は酔いつぶれるまで飲んだらしく、空いた酒瓶が数本テーブルの上に立っていたからだ。
そう思うと、公爵の死に対して何とも思わなくなり、むしろ無謀な指揮をとられることがなくなったと内心では安堵した。
「スケルトンが急に砦内に出現した?」
「はい……」
亡くなった者たちの遺体は魔法の指輪に収納し、アルドブラノはここに残っていた兵たちにどうしてこのような状況になったのかを尋ねると、多くの者たちがこのように荒唐無稽のようなことを言ってきた。
スケルトンが攻めてきたのではなく、湧き出るように出現したのだそうだ。
「……本当でしょうか?」
「信じがたいが、多くの者が同じようなことを言うのだからそうなのだろう」
聞いたことも無いような現象の報告に、ヴァスティノもすぐに受け入れられる心境ではない。
疑いの気持ちが捨てきれないでいるヴァスティノに対し、ガリエラは渋々といった感じでそのことを受け入れるつもりのようだ。
「ここはそのように魔物を出現させる細工がされているのかもしれない」
「なるほど。夜に発動するようにしかけられていれば、もしかしたら……」
スケルトンが出現した時の状況を知らないため、3人は本当なのか確定するものが何もない。
しかし、何かを出現させるという細工は、魔法陣を設置しておけばできないことではない。
犯人特定や現象を真似されないよう、発動後に消えるようにしているだろうから、証拠は見つからないだろう。
「まだ発動していない魔法陣があるかもしれない。念のため全員この砦から退避しろ!!」
「りょ、了解しました!!」
用意したトラップが一つだけとは限らない。
安心した所に第2陣ということになられては面倒だ。
そのため、アルドブラノは兵たちに退避の命令を飛ばした。
怪我人を連れた者を先頭に、アルドブラノたちは砦を捨てて一旦グーリオの町へと退避することにしたのだった。
◆◆◆◆◆
「冷たくて気持ちいい……」
ルイゼン領奪還戦が最初から苦戦しているのを知らず、前領主の娘のエレナは湖に足を付けて喜んでいた。
レオの人形体のお陰で、ようやく湖の魔物駆除が終了したのだ。
話に聞いていた湖に来ることをずっと楽しみにしていたエレナは、ようやく来られることになり嬉しいのだろう。
「まだ泳げるようにしていないから、膝より下を浸けるだけにしておいてね」
「はい! 分かりました!」
魔物は退治したが、湖底の整備はされていない。
もしも深いところで足がハマったりしたら危険なため、レオはエレナに忠告する。
エレナもここに来る前に何度も注意を受けているので、ちゃんと理解している。
『まぁ、多少何かあっても大丈夫な備えはしてあるけど……』
エレナが湖に行きたいというので、レオは他のみんなに相談した。
そうしたら、ガイオやドナートとヴィートが護衛でついて行くと言うし、女性の手が必要になるかもしれないと、ガイオの部下で女性部隊隊長のイメルダも付いてくることになった。
エレナが出かけるなら当然といった感じでセバスティアーノもいるし、過剰ともいえるような警護体制がとられている。
とは言っても、一番警護に気を使っているのはレオで、ロイたちの部隊を配置し、イルカ型人形たちも湖の中に潜ませている。
更に、戦力補充とも言うように人形兵に周囲を警戒させている。
よっぽど危険な魔物でも出ない限り、エレナに危険が及ぶことはないだろう。
「綺麗ですね……」
「気にいってもらえたかな?」
「はい!」
湖の水で涼んだ後、エレナはセバスティアーノが用意したお茶を飲んでみんなとこの場所の景色を眺めていた。
森と湖の景色に感動しているエレナに、レオは連れて来て正解だったと思った。
やはりエレナは笑っている方が似合っている。
そう思ったレオは、ファウストが言っていたようにこの場所の開発を行うことを前向きに考えることにした。