「なるほど、調査に行ったから素材が変わったんですかい……」
「えぇ」
調査に行ってからアルヴァロに渡す素材が変わり、虫の魔物の素材が増えることになった。
受け取る時にそのことに気付いたアルヴァロが、レオに理由を尋ねてきた。
その答えを聞いて、アルヴァロはすぐに納得した。
ロイたちが倒す魔物が虫系ばかりになり食肉の面で心配だったが、虫系の魔物を餌とする鳥の魔物も出るので、最近のレオたちの食卓には鶏肉が頻繁に出るようになっている。
「ロイたちが隊を組んで魔物の退治をしているので数は少し減りましたけど、変わらず大量に魔石が手に入っています」
「取れる魔石が少し大きくなった分値段も少し上がりやすから、数が減っても金額的にはこれまでと変わんないと思いやす」
虫から取れる素材はたいしてなく、ギルドに売れるものは少ない。
しかし、アルヴァロの言うように、その分これまでよりも少し大きい魔石が採れるようになったので、魔石の販売価格でこれまで通りの金額が手に入るだろう。
「何でも、金属の採掘を始めたとか?」
「はい。2体の人形に採掘してもらっています」
エドモンドに相談したことにより、以前オーガとゴブリンが潜んでいた洞窟で何か金属が採取できないかと思い、新しく作った2体の人形たちに採掘作業をしてもらうことにした。
住人の何人かが採掘作業をすることに手を上げてくれたが、もしも洞窟内でガスが発生したりした場合危険なため、人形たちにしてもらうことにした。
人形たちなら例えガスが発生しても難なく行動できるので、適していると言って良いだろう。
「鉄鉱石とか取れてもまだ炉がないので、少しだけですけどね……」
「ドワーフのエドモンドさんがいるなら大丈夫でしょ?」
レオの言うように採掘作業をしていくのに並行して、金属を取り出す為の炉の建設も始めた。
魔物の討伐のことも考えて、レオは木製の人形を増やしているため、元々は鍛冶をしていたエドモンドに炉の建設は任せている。
「頼まれていたので、とりあえず番の山羊を連れて来たんですが、畜産でも始めるんですかい?」
「そうです。色々と使えるので……」
樹々だけでなく、島は雑草も生い茂り放題だ。
手作業や魔法でどうにかするのにも、かなりの労力と時間を要することになる。
だったら、家畜の動物に処理してもらおうという考えになったのだ。
そのために、アルヴァロに山羊を手に入れてもらうように頼んでおいた。
それが今回来ることになって、住宅地のはずれに山羊小屋が製作され、そこに2頭の山羊が入ることになった。
山羊は1日約10kg食べるほど食欲旺盛だし、草むらに放置しておけば餌代わりに除草してくれることを期待して手に入れてもらった。
数を増やすことができるようになれば、毛で冬用の服や毛布も作れるし、食肉としても考えられるうえに山羊乳も取れ、その乳からチーズも作れるし、1石何鳥にもなる。
家畜としてこれほど適した動物はいないだろうと、あっさりみんなに受け入れられた。
「坊ちゃんとファウストの旦那で話合われていた件ですが……」
「はい。例のお店のことですね?」
「はい!」
今回山羊を島に運ぶために檻をのせたため、他に人を乗せる余裕がなかったため、ファウストは乗ってこなかったらしい。
そのため、以前話していたことの報告をアルヴァロが代わりに説明してくれるようだ。
それがレオの言うお店の話だ。
ヴェントレ島の素材はアルヴァロがギルドに販売していて、それによってレオは資金を得ている。
その資金も、開拓のためや住民の要望に応えるために使っているのだが、ただギルドに売って資金を得るよりも、お店を開いて販売した方が儲けは出るという話になった。
毎週多くの薬草や魔物の肉や素材、それと魔石を販売していたが、その一部は店を開いて販売することにした。
「料理店ですが、極力ここの島の食材を使ってもらうこと以外は自由にやってもらうことになりました」
「そうですか」
タダで手に入るこの島の食材を使うことで費用も抑えられる。
調理して提供する分、手に入る金額も上がるため、試しにフェリーラ領で料理店を開いてみることにした。
土地などはファウストに任せて、アルヴァロも確認していたので問題はない。
後は、その店を任せる者の実力次第といったところだ。
「ガエターノとダリアなら問題ないでしょう」
「そうですね」
実家でレオの料理を作っていた料理人のガエターノと、ベンヴェヌートの補佐的な手伝いをしていたメイドがダリアだ。
2人は夫婦で、ベンヴェヌートと共に使用人を辞め、ディステ領から脱出した口だ。
ベンヴェヌートとは別のルートで、フェリーラ領にたどり着きレオの生存を知ったそうだ。
彼らもこの島に来ることを望んでいたのだが、ちょうど店を開かないかというファウストからの話があったため、彼らに任せることにしたのだ。
レオの頼みだと聞いた2人は、それを受けいれてくれた。
元々レオの生存を知らなかった時は、どこかの町で店を開ければという考えをしていただけに、任されると聞いてレオに感謝していた。
彼らの仕事の実力を知っているため、レオとベンヴェヌートは揃って太鼓判を押した。
「ドラン、バラグ何か取れたかい?」
“コクッ!”
以前オーガが潜んでいた洞窟にきたレオは、発掘を頼んだ2体の人形に尋ねる。
それに対して、洞窟から出てきたドランが頷き、篭を持ってレオの所へ来た。
「どうですか? エドモンドさん」
「ん~、たしかに鉄鉱石だが、少ししか含まれていないようだな……」
籠には鉄鉱石らしきものが入っていたが、エドモンドの鑑定した感想だとそんなに質はいいとは言えないようだ。
「まぁ、これでも取れるだけ取って鉄にするしかないかもな……」
「そうですか……」
最初からそれほど期待していなかったが、やはりそう上手くいかないようだ。
頑張ってくれた2体には悪いが、残念な結果にレオは少し肩を落とした。
「2体とも、悪いけど続けてもらえるかい?」
“コクッ!”
しかし、少しでも島で手に入れられるなら、このままドランたちに掘らせてもいいかもしれない。
そのため、レオはこのまま2体に掘り続けてもらうことにした。
頷いたドランは、また洞窟の中へと入って行った。
「そうですか……、鉄は望みが薄いですか……」
「うん」
山羊に雑草の処理をしてもらうのを眺めながら、レオとエレナが話していた。
闇猫のクオーレを毎日撫でている所からも分かるように、エレナは動物が好きなため、山羊の面倒もたまに見ている。
雑草を食べている山羊を見ているのが楽しいそうだ。
洞窟内からあまり鉄が取れないことを残念に思っていたレオが、一緒になって山羊を眺めている時に呟くと、その話に相槌を打った。
「フェリーラ領のお店の方はどうなのですか?」
「順調なようだよ」
フェリーラ領に開いた料理店だが、レオとベンヴェヌートが思っていたように、ガエターノとダリアが頑張ってくれているのか、人気は上々らしい。
料理人のガエターノの腕とメイドの経験のあるダリアが給仕するので、失敗することはないだろう。
「ただ、他にも人気のお店はあるからね。何か特別なものがあると良いんだけどね……」
たしかに2人のお陰で開店早々人気が出たようだが、当然他にも人気店はある。
そこと比べても遜色はないのだが、やはり更に目玉になるような商品があれば、この人気を維持できるのではないかとレオは思っている。
「レオさんの作っていたショーユというのは使えないのですか?」
「……それだ! お店でも使えるようにもっと作ろう!」
レオは以前から大和皇国の調味料であるショーユを作っていた。
最近ようやくできてきたため、それを使った料理をみんなに振舞った。
新しい調味料ということもあり、みんな興味津々に食べていたが、レオの料理は喜んでもらえた。
特に島の料理人のピエトロは気に入り、もっと量産するべきだと興奮していた。
作り過ぎてもしょうがないと思っていたが、ガエターノの店で使ってもらえばもしかしたら珍しさで人気になるかもしれない。
そのため、エレナの言葉で思いついたレオは、ショーユの生産を増やすことにした。
「えぇ」
調査に行ってからアルヴァロに渡す素材が変わり、虫の魔物の素材が増えることになった。
受け取る時にそのことに気付いたアルヴァロが、レオに理由を尋ねてきた。
その答えを聞いて、アルヴァロはすぐに納得した。
ロイたちが倒す魔物が虫系ばかりになり食肉の面で心配だったが、虫系の魔物を餌とする鳥の魔物も出るので、最近のレオたちの食卓には鶏肉が頻繁に出るようになっている。
「ロイたちが隊を組んで魔物の退治をしているので数は少し減りましたけど、変わらず大量に魔石が手に入っています」
「取れる魔石が少し大きくなった分値段も少し上がりやすから、数が減っても金額的にはこれまでと変わんないと思いやす」
虫から取れる素材はたいしてなく、ギルドに売れるものは少ない。
しかし、アルヴァロの言うように、その分これまでよりも少し大きい魔石が採れるようになったので、魔石の販売価格でこれまで通りの金額が手に入るだろう。
「何でも、金属の採掘を始めたとか?」
「はい。2体の人形に採掘してもらっています」
エドモンドに相談したことにより、以前オーガとゴブリンが潜んでいた洞窟で何か金属が採取できないかと思い、新しく作った2体の人形たちに採掘作業をしてもらうことにした。
住人の何人かが採掘作業をすることに手を上げてくれたが、もしも洞窟内でガスが発生したりした場合危険なため、人形たちにしてもらうことにした。
人形たちなら例えガスが発生しても難なく行動できるので、適していると言って良いだろう。
「鉄鉱石とか取れてもまだ炉がないので、少しだけですけどね……」
「ドワーフのエドモンドさんがいるなら大丈夫でしょ?」
レオの言うように採掘作業をしていくのに並行して、金属を取り出す為の炉の建設も始めた。
魔物の討伐のことも考えて、レオは木製の人形を増やしているため、元々は鍛冶をしていたエドモンドに炉の建設は任せている。
「頼まれていたので、とりあえず番の山羊を連れて来たんですが、畜産でも始めるんですかい?」
「そうです。色々と使えるので……」
樹々だけでなく、島は雑草も生い茂り放題だ。
手作業や魔法でどうにかするのにも、かなりの労力と時間を要することになる。
だったら、家畜の動物に処理してもらおうという考えになったのだ。
そのために、アルヴァロに山羊を手に入れてもらうように頼んでおいた。
それが今回来ることになって、住宅地のはずれに山羊小屋が製作され、そこに2頭の山羊が入ることになった。
山羊は1日約10kg食べるほど食欲旺盛だし、草むらに放置しておけば餌代わりに除草してくれることを期待して手に入れてもらった。
数を増やすことができるようになれば、毛で冬用の服や毛布も作れるし、食肉としても考えられるうえに山羊乳も取れ、その乳からチーズも作れるし、1石何鳥にもなる。
家畜としてこれほど適した動物はいないだろうと、あっさりみんなに受け入れられた。
「坊ちゃんとファウストの旦那で話合われていた件ですが……」
「はい。例のお店のことですね?」
「はい!」
今回山羊を島に運ぶために檻をのせたため、他に人を乗せる余裕がなかったため、ファウストは乗ってこなかったらしい。
そのため、以前話していたことの報告をアルヴァロが代わりに説明してくれるようだ。
それがレオの言うお店の話だ。
ヴェントレ島の素材はアルヴァロがギルドに販売していて、それによってレオは資金を得ている。
その資金も、開拓のためや住民の要望に応えるために使っているのだが、ただギルドに売って資金を得るよりも、お店を開いて販売した方が儲けは出るという話になった。
毎週多くの薬草や魔物の肉や素材、それと魔石を販売していたが、その一部は店を開いて販売することにした。
「料理店ですが、極力ここの島の食材を使ってもらうこと以外は自由にやってもらうことになりました」
「そうですか」
タダで手に入るこの島の食材を使うことで費用も抑えられる。
調理して提供する分、手に入る金額も上がるため、試しにフェリーラ領で料理店を開いてみることにした。
土地などはファウストに任せて、アルヴァロも確認していたので問題はない。
後は、その店を任せる者の実力次第といったところだ。
「ガエターノとダリアなら問題ないでしょう」
「そうですね」
実家でレオの料理を作っていた料理人のガエターノと、ベンヴェヌートの補佐的な手伝いをしていたメイドがダリアだ。
2人は夫婦で、ベンヴェヌートと共に使用人を辞め、ディステ領から脱出した口だ。
ベンヴェヌートとは別のルートで、フェリーラ領にたどり着きレオの生存を知ったそうだ。
彼らもこの島に来ることを望んでいたのだが、ちょうど店を開かないかというファウストからの話があったため、彼らに任せることにしたのだ。
レオの頼みだと聞いた2人は、それを受けいれてくれた。
元々レオの生存を知らなかった時は、どこかの町で店を開ければという考えをしていただけに、任されると聞いてレオに感謝していた。
彼らの仕事の実力を知っているため、レオとベンヴェヌートは揃って太鼓判を押した。
「ドラン、バラグ何か取れたかい?」
“コクッ!”
以前オーガが潜んでいた洞窟にきたレオは、発掘を頼んだ2体の人形に尋ねる。
それに対して、洞窟から出てきたドランが頷き、篭を持ってレオの所へ来た。
「どうですか? エドモンドさん」
「ん~、たしかに鉄鉱石だが、少ししか含まれていないようだな……」
籠には鉄鉱石らしきものが入っていたが、エドモンドの鑑定した感想だとそんなに質はいいとは言えないようだ。
「まぁ、これでも取れるだけ取って鉄にするしかないかもな……」
「そうですか……」
最初からそれほど期待していなかったが、やはりそう上手くいかないようだ。
頑張ってくれた2体には悪いが、残念な結果にレオは少し肩を落とした。
「2体とも、悪いけど続けてもらえるかい?」
“コクッ!”
しかし、少しでも島で手に入れられるなら、このままドランたちに掘らせてもいいかもしれない。
そのため、レオはこのまま2体に掘り続けてもらうことにした。
頷いたドランは、また洞窟の中へと入って行った。
「そうですか……、鉄は望みが薄いですか……」
「うん」
山羊に雑草の処理をしてもらうのを眺めながら、レオとエレナが話していた。
闇猫のクオーレを毎日撫でている所からも分かるように、エレナは動物が好きなため、山羊の面倒もたまに見ている。
雑草を食べている山羊を見ているのが楽しいそうだ。
洞窟内からあまり鉄が取れないことを残念に思っていたレオが、一緒になって山羊を眺めている時に呟くと、その話に相槌を打った。
「フェリーラ領のお店の方はどうなのですか?」
「順調なようだよ」
フェリーラ領に開いた料理店だが、レオとベンヴェヌートが思っていたように、ガエターノとダリアが頑張ってくれているのか、人気は上々らしい。
料理人のガエターノの腕とメイドの経験のあるダリアが給仕するので、失敗することはないだろう。
「ただ、他にも人気のお店はあるからね。何か特別なものがあると良いんだけどね……」
たしかに2人のお陰で開店早々人気が出たようだが、当然他にも人気店はある。
そこと比べても遜色はないのだが、やはり更に目玉になるような商品があれば、この人気を維持できるのではないかとレオは思っている。
「レオさんの作っていたショーユというのは使えないのですか?」
「……それだ! お店でも使えるようにもっと作ろう!」
レオは以前から大和皇国の調味料であるショーユを作っていた。
最近ようやくできてきたため、それを使った料理をみんなに振舞った。
新しい調味料ということもあり、みんな興味津々に食べていたが、レオの料理は喜んでもらえた。
特に島の料理人のピエトロは気に入り、もっと量産するべきだと興奮していた。
作り過ぎてもしょうがないと思っていたが、ガエターノの店で使ってもらえばもしかしたら珍しさで人気になるかもしれない。
そのため、エレナの言葉で思いついたレオは、ショーユの生産を増やすことにした。