「薬草が一杯生えていますね!」
ロイとオルを先頭にドナートとヴィートを連れて森へと入ったレオだが、入ってすぐに足を止めることになった。
家の周りにも生えているのだが、誰も採取する人間がいないからか、森の中には薬草がかなり自生していた。
余るくらいに取っておいても丁度良いくらいだ。
人は増えたが、医者がいないので回復薬を作って置く必要があるため、レオは薬草の採取を始めた。
「野草も生えていますね。揚げ物にすると美味しいんですよ」
薬草だけでなく、色々な野草まで生えている。
食用の魔物の肉は結構な量あるが、野菜などは少ないためこれから育てるしかない。
野菜が育つまで肉ばかりではさすがに飽きるだろうと思い、レオは野草の採取も始めた。
「全然先へ進めねえな……」
「あぁ……」
護衛代わりについてきたドナートとヴィートだが、レオがさっきから草ばかり採取して全然進まないことで暇そうに話していた。
みんなが暮らしている所からそれ程離れていないところでこんなことしていても、全く調査にならないと思える。
レオが採取しているのを立って見ているだけの2人からしたら、暇に思うのも当然だろう。
“ガサッ!!”
「「っ!!」」
暇そうにとしていたとはいっても、当然魔物への警戒は怠っていない。
少し離れた所で物音がし、2人はすぐにそちらへ向けて持っている槍を構えた。
「ゴブリン!!」
音のした方へ目を向けると、そこには緑色した醜悪な顔をした小鬼が目に入った。
その魔物も、同じタイミングでこちらに気付き、ヴィートが魔物の名前を言った時にはこちらへ走り出していた。
「ゲギャッ!?」
“ズバッ!!”
しかし、ゴブリンの攻撃がレオたちに届く前に、剣を装備したロイがゴブリンの横から斬りかかる。
人形だから気配を感じなかったのか、いつの間にか死角に回られたことに気付かず、ゴブリンは首を斬られて出血して絶命した。
ゴブリンが動かなくなると、ロイはすぐに魔石の回収に動き出した。
「すごいな……」
「確かに……」
ゴブリンは小さいうえに頭もそれほど良くないため、武器を持った普通の大人なら冷静に対処すれば倒せる魔物だ。
とは言っても、かなりあっさりとロイが倒してしまったことに、ドナートとヴィートは呆気にとられていた。
魔物の相手ができるとは聞いていたが、思った以上にロイたち人形の動きがいい。
ゴブリンの相手をしている中、レオなんか一瞥しただけで、すぐさま薬草採取をし始めていた。
それだけの実力があると分かっている行動だ。
何だか身構えた自分たちの方が恥ずかしい気がしてきたくらいだ。
「護衛に来た意味がない気がしてきたな……」
「薬草採取を手伝うか?」
「そうだな……」
ロイたちの動きを見ていると、確かにある程度の魔物なら任せておいて大丈夫そうだ。
自分たちまで守られている気がしてきたドナートとヴィートは、何もすることがないのでレオ同様に薬草と野草の採取を手伝うことにした。
「これだけあれば、ひとまずいいかな……」
ロイが倒したゴブリンの魔石と共に、レオは薬草や野草を魔法の指輪に収納した。
結構な量を採取しても薬草はまだかなり生えている。
しかし、もう多くの回復薬を作れるだけの採取が済んだので、ひとまず薬草採取を終了することにした。
「海沿いに向かいましょう!」
「……何でだ?」
何もしないでいるよりも歩いて足を動かしていることの方が気分的に楽だが、海沿いに行って何の調査をするのか気になったドナートは、その理由を尋ねた。
「みなさんの船を置けるところがないかと思いまして……」
レオが海沿いを確認する目的は、みんなが乗って来た船を、今のまま海上に停泊させておく訳にはいかないからだ。
台風による高波を受けたことにより、船にはあちこち破損した箇所がある。
その修復に木材を持って行くにも、小舟で何度も往復しなければならない。
もしも、また台風が来た場合、沈没してしまうかもしれない。
それならどこか島の近くで泊められる場所を探して、そこに船を運んで修理した方がスムーズにことが運ぶと思ったからだ。
「船乗りにとって船は大事なものなのでしょう?」
「当然!」
週1で来てくれる漁師のアルヴァロもそうだが、船を持つには結構な資金がかかる。
漁船ですら高いのに、それより大きな中型船となるともっと大金がかかっているはずだ。
このまま海岸に停泊させて沈没することになってしまったら、みんな悔しい思いをするのではないかと思う。
きっとドナートたちもあの船のことが気になっていると思い問いかけてみると、ドナートはすぐに返事をしてきた。
「整備するにも近ければ魔物の危険も少ないでしょうから、そんな場所がないかとりあえず探して見ましょう!」
「あぁ!」「おう!」
理想としては、船場は海岸近くに置きたい。
そうすれば、みんなが住んでいる所に近いからだ。
なければ人海戦術で作るという考えもあるが、それは最終手段にしておきたい。
まずレオたちは、船が波で流されたりしないようにできる場所を探すことにした。
「んっ? おいっ! あれっ!」
「えっ? ……洞窟?」
崖下を覗き込むようにして覗き込んだドナートが、何かを発見したように声をあげた。
それに反応したヴィートは、ドナートが指さしたところへ目を向ける。
すると、そこまで深いようには見えないが、洞窟のような場所があるのを発見した。
「ここなら大型船ですら入るんじゃないか?」
「そうですね! 後はここに船場を作れるか、海底の高さを後日見に行きましょう!」
洞窟なので雨に晒されることも防げそうだし、縦横の幅を考えると確かに大型船でも入れることができそうだ。
後は船を操縦して、そのまま入ることができるかということだ。
海底の高さがあるならそのままここに停泊すれば、船場として十分使えるだろう。
しかし、崖から飛び降りる訳にもいかないので、後日調べるしかない。
丁度いい場所があったのを発見したレオは、羊皮紙にメモを取った。
「後は魔物の調査を少しして帰りましょう!」
「了解!」
「分かった!」
護衛についてきたのだが、結局出てくる魔物はロイとオルが始末してしまう。
はっきり言って何もしていないも同然でしかなかったが、船場にできそうな場所が発見できたことから、ドナートとヴィートは機嫌が良くなった。
あの船はガイオが大事にしている船なので、2人はこのまま海上に停泊させておくのは心苦しかった。
それがちゃんと保全できそうなので、ガイオに良い報告ができると思っているからだ。
「しかし、森の入り口付近とは言ってもかなりの多さだな……」
「ですね……」
ヴィートの呟きに、レオも同意する。
調査に出たのだが、レオたちは拠点となる場所からたいして離れていない。
しかし、薬草を採取している時やさっきの洞窟を発見するまでの間にも魔物が定期的に現れていた。
出たと言っても弱い魔物ばかりで、ロイとオルがあっという間に倒していた。
「またか?」
「ゲゲ……」
どんな魔物が出るかカウントしているのだが、多く出てくるのはゴブリンだ。
また現れたゴブリンに、ドナートは思わず呟いてしまった。
「ゴブリンの集落があるんじゃないか?」
「怖いですね。そんなのがあるなら早急に対処しないといけないですからね……」
頻繁に出てくるゴブリンを見ていると、ヴィートの言うようにゴブリンの集落でもあるのかと思えてくる。
1体の強さは弱くても、数が大量になればゴブリンでもかなりの脅威になる。
そんなのがあるというなら、早々に潰しておかないと、みんなに危険が及ぶかもしれない。
ヴィートのちょっとした予想のようなものでしかないが、レオは調査する必要アリと羊皮紙にメモをした。
「ところで……」
調査によっていくつか収穫があったレオたちは、日が暮れる前に拠点へ戻ることにした。
もう少しでみんなが待つ拠点に着くという所で、レオは疑問に思っていたことを2人に聞くことにした。
「2人は海賊なのですか?」
「「…………」」
レオからのいきなりの質問に、ドナートとヴィートは思わず無言になり足を止めたのだった。
ロイとオルを先頭にドナートとヴィートを連れて森へと入ったレオだが、入ってすぐに足を止めることになった。
家の周りにも生えているのだが、誰も採取する人間がいないからか、森の中には薬草がかなり自生していた。
余るくらいに取っておいても丁度良いくらいだ。
人は増えたが、医者がいないので回復薬を作って置く必要があるため、レオは薬草の採取を始めた。
「野草も生えていますね。揚げ物にすると美味しいんですよ」
薬草だけでなく、色々な野草まで生えている。
食用の魔物の肉は結構な量あるが、野菜などは少ないためこれから育てるしかない。
野菜が育つまで肉ばかりではさすがに飽きるだろうと思い、レオは野草の採取も始めた。
「全然先へ進めねえな……」
「あぁ……」
護衛代わりについてきたドナートとヴィートだが、レオがさっきから草ばかり採取して全然進まないことで暇そうに話していた。
みんなが暮らしている所からそれ程離れていないところでこんなことしていても、全く調査にならないと思える。
レオが採取しているのを立って見ているだけの2人からしたら、暇に思うのも当然だろう。
“ガサッ!!”
「「っ!!」」
暇そうにとしていたとはいっても、当然魔物への警戒は怠っていない。
少し離れた所で物音がし、2人はすぐにそちらへ向けて持っている槍を構えた。
「ゴブリン!!」
音のした方へ目を向けると、そこには緑色した醜悪な顔をした小鬼が目に入った。
その魔物も、同じタイミングでこちらに気付き、ヴィートが魔物の名前を言った時にはこちらへ走り出していた。
「ゲギャッ!?」
“ズバッ!!”
しかし、ゴブリンの攻撃がレオたちに届く前に、剣を装備したロイがゴブリンの横から斬りかかる。
人形だから気配を感じなかったのか、いつの間にか死角に回られたことに気付かず、ゴブリンは首を斬られて出血して絶命した。
ゴブリンが動かなくなると、ロイはすぐに魔石の回収に動き出した。
「すごいな……」
「確かに……」
ゴブリンは小さいうえに頭もそれほど良くないため、武器を持った普通の大人なら冷静に対処すれば倒せる魔物だ。
とは言っても、かなりあっさりとロイが倒してしまったことに、ドナートとヴィートは呆気にとられていた。
魔物の相手ができるとは聞いていたが、思った以上にロイたち人形の動きがいい。
ゴブリンの相手をしている中、レオなんか一瞥しただけで、すぐさま薬草採取をし始めていた。
それだけの実力があると分かっている行動だ。
何だか身構えた自分たちの方が恥ずかしい気がしてきたくらいだ。
「護衛に来た意味がない気がしてきたな……」
「薬草採取を手伝うか?」
「そうだな……」
ロイたちの動きを見ていると、確かにある程度の魔物なら任せておいて大丈夫そうだ。
自分たちまで守られている気がしてきたドナートとヴィートは、何もすることがないのでレオ同様に薬草と野草の採取を手伝うことにした。
「これだけあれば、ひとまずいいかな……」
ロイが倒したゴブリンの魔石と共に、レオは薬草や野草を魔法の指輪に収納した。
結構な量を採取しても薬草はまだかなり生えている。
しかし、もう多くの回復薬を作れるだけの採取が済んだので、ひとまず薬草採取を終了することにした。
「海沿いに向かいましょう!」
「……何でだ?」
何もしないでいるよりも歩いて足を動かしていることの方が気分的に楽だが、海沿いに行って何の調査をするのか気になったドナートは、その理由を尋ねた。
「みなさんの船を置けるところがないかと思いまして……」
レオが海沿いを確認する目的は、みんなが乗って来た船を、今のまま海上に停泊させておく訳にはいかないからだ。
台風による高波を受けたことにより、船にはあちこち破損した箇所がある。
その修復に木材を持って行くにも、小舟で何度も往復しなければならない。
もしも、また台風が来た場合、沈没してしまうかもしれない。
それならどこか島の近くで泊められる場所を探して、そこに船を運んで修理した方がスムーズにことが運ぶと思ったからだ。
「船乗りにとって船は大事なものなのでしょう?」
「当然!」
週1で来てくれる漁師のアルヴァロもそうだが、船を持つには結構な資金がかかる。
漁船ですら高いのに、それより大きな中型船となるともっと大金がかかっているはずだ。
このまま海岸に停泊させて沈没することになってしまったら、みんな悔しい思いをするのではないかと思う。
きっとドナートたちもあの船のことが気になっていると思い問いかけてみると、ドナートはすぐに返事をしてきた。
「整備するにも近ければ魔物の危険も少ないでしょうから、そんな場所がないかとりあえず探して見ましょう!」
「あぁ!」「おう!」
理想としては、船場は海岸近くに置きたい。
そうすれば、みんなが住んでいる所に近いからだ。
なければ人海戦術で作るという考えもあるが、それは最終手段にしておきたい。
まずレオたちは、船が波で流されたりしないようにできる場所を探すことにした。
「んっ? おいっ! あれっ!」
「えっ? ……洞窟?」
崖下を覗き込むようにして覗き込んだドナートが、何かを発見したように声をあげた。
それに反応したヴィートは、ドナートが指さしたところへ目を向ける。
すると、そこまで深いようには見えないが、洞窟のような場所があるのを発見した。
「ここなら大型船ですら入るんじゃないか?」
「そうですね! 後はここに船場を作れるか、海底の高さを後日見に行きましょう!」
洞窟なので雨に晒されることも防げそうだし、縦横の幅を考えると確かに大型船でも入れることができそうだ。
後は船を操縦して、そのまま入ることができるかということだ。
海底の高さがあるならそのままここに停泊すれば、船場として十分使えるだろう。
しかし、崖から飛び降りる訳にもいかないので、後日調べるしかない。
丁度いい場所があったのを発見したレオは、羊皮紙にメモを取った。
「後は魔物の調査を少しして帰りましょう!」
「了解!」
「分かった!」
護衛についてきたのだが、結局出てくる魔物はロイとオルが始末してしまう。
はっきり言って何もしていないも同然でしかなかったが、船場にできそうな場所が発見できたことから、ドナートとヴィートは機嫌が良くなった。
あの船はガイオが大事にしている船なので、2人はこのまま海上に停泊させておくのは心苦しかった。
それがちゃんと保全できそうなので、ガイオに良い報告ができると思っているからだ。
「しかし、森の入り口付近とは言ってもかなりの多さだな……」
「ですね……」
ヴィートの呟きに、レオも同意する。
調査に出たのだが、レオたちは拠点となる場所からたいして離れていない。
しかし、薬草を採取している時やさっきの洞窟を発見するまでの間にも魔物が定期的に現れていた。
出たと言っても弱い魔物ばかりで、ロイとオルがあっという間に倒していた。
「またか?」
「ゲゲ……」
どんな魔物が出るかカウントしているのだが、多く出てくるのはゴブリンだ。
また現れたゴブリンに、ドナートは思わず呟いてしまった。
「ゴブリンの集落があるんじゃないか?」
「怖いですね。そんなのがあるなら早急に対処しないといけないですからね……」
頻繁に出てくるゴブリンを見ていると、ヴィートの言うようにゴブリンの集落でもあるのかと思えてくる。
1体の強さは弱くても、数が大量になればゴブリンでもかなりの脅威になる。
そんなのがあるというなら、早々に潰しておかないと、みんなに危険が及ぶかもしれない。
ヴィートのちょっとした予想のようなものでしかないが、レオは調査する必要アリと羊皮紙にメモをした。
「ところで……」
調査によっていくつか収穫があったレオたちは、日が暮れる前に拠点へ戻ることにした。
もう少しでみんなが待つ拠点に着くという所で、レオは疑問に思っていたことを2人に聞くことにした。
「2人は海賊なのですか?」
「「…………」」
レオからのいきなりの質問に、ドナートとヴィートは思わず無言になり足を止めたのだった。