「ねぇ、あの人じゃない?杉浦さんが言ってたの」
「うわ、まじじゃん」
「あの人、消されるんじゃない?」
今日登校していると、そんな声が聴こえてきた。誰の事を言っているのか、このときは分からなかった。
教室に入ると、何故か教室が静まり返った。
しかし私は気にせずに席に着く。
「み、美麗......?」
顔を上げると、そこには顔を青くした奈乃香がいた。
「奈乃香、おはよ......」
「美麗、何したの?」
いつもは私の言葉を遮る事は無いので少し驚いた。
「何って?」
「何って......杉浦さんに逆らったんじゃないの?」
「大体あってるかな」
そう返すと、奈乃香は怯えた様子で私から離れた。
「奈乃香?」
声を掛けても無視して行ってしまった。
それからというものの、奈乃香と話せない日が続いた。いや、避けられていると言った方が正しいだろう。
おそらく杉浦さんの怒りの矛先が自分に向かないように、私を避けているのだろう。私たちの関係はこんなものだったのかと思うと少し悲しくなる。
ため息をつきながら机の引き出しを漁ると、見覚えのない紙が出てきた。よく見るときれいな字で『少し話せませんか?無理なら構いません。大丈夫でしたら、放課後に駅の裏の公園に来てください。待っています 龍華』と書かれていた。
彼と私の共通の話題と言えば、杉浦さんのことしか思いつかないので、そのことだろう。
その後の授業はこのことばかり気になって、集中できなかった。
授業が終わって、ダメもとで奈乃香に挨拶をしたが、やはり無視されてしまった。奈乃香が臆病なのは知っていたが、やはり悲しく思ってしまった。
ダッシュで公園に向かうと、すでに龍華はベンチに座っていた。
息を切らしながらも近づくと私に気づいたのか、龍華が顔を勢いよく上げて立ち上がった。
「ごめんなさい‼」
急に頭を下げられ、私は少しの間固まってしまった。
「な、なに言ってるの?」
「俺のせいで、杉浦さんが全校生徒に『清瀬さんを無視しろ』って命令したんだ」
「なんだ、そんなこと?龍華さんは悪くないんだから、顔を上げてよ」
私が苦笑交じりで言うと、龍華は顔は上げず、怯えた様子で聞いてきた。
「お、怒らないの......?」
「怒るわけないじゃん。だって、龍華さんは悪くないし。まぁ、最初はやっちゃったって思ったけど、結果的には後悔してないよ」
私が即答すると、龍華は目を見開き、微笑んだ。
その時、私の胸はなんだか騒がしくなった。
「清瀬さん、ありがとうございます。この御恩は、いつかお返しします」
「えっ、そんなの良いのに。大したこともしてないし」
遠慮して後ずさると、龍華は距離を縮めてきた。
もしかして、龍華は意外と押しが強いのだろうか。
「お世話になったままだけは嫌です。必ずお返ししますから。それではまた明日」
龍華は私を取り残して走り去っていった。
若干呆れてしまったが、ここまで感謝されたのは初めてだったので、少し浮かれてしまった。
今後の私の学校生活のことは考えずに。
「うわ、まじじゃん」
「あの人、消されるんじゃない?」
今日登校していると、そんな声が聴こえてきた。誰の事を言っているのか、このときは分からなかった。
教室に入ると、何故か教室が静まり返った。
しかし私は気にせずに席に着く。
「み、美麗......?」
顔を上げると、そこには顔を青くした奈乃香がいた。
「奈乃香、おはよ......」
「美麗、何したの?」
いつもは私の言葉を遮る事は無いので少し驚いた。
「何って?」
「何って......杉浦さんに逆らったんじゃないの?」
「大体あってるかな」
そう返すと、奈乃香は怯えた様子で私から離れた。
「奈乃香?」
声を掛けても無視して行ってしまった。
それからというものの、奈乃香と話せない日が続いた。いや、避けられていると言った方が正しいだろう。
おそらく杉浦さんの怒りの矛先が自分に向かないように、私を避けているのだろう。私たちの関係はこんなものだったのかと思うと少し悲しくなる。
ため息をつきながら机の引き出しを漁ると、見覚えのない紙が出てきた。よく見るときれいな字で『少し話せませんか?無理なら構いません。大丈夫でしたら、放課後に駅の裏の公園に来てください。待っています 龍華』と書かれていた。
彼と私の共通の話題と言えば、杉浦さんのことしか思いつかないので、そのことだろう。
その後の授業はこのことばかり気になって、集中できなかった。
授業が終わって、ダメもとで奈乃香に挨拶をしたが、やはり無視されてしまった。奈乃香が臆病なのは知っていたが、やはり悲しく思ってしまった。
ダッシュで公園に向かうと、すでに龍華はベンチに座っていた。
息を切らしながらも近づくと私に気づいたのか、龍華が顔を勢いよく上げて立ち上がった。
「ごめんなさい‼」
急に頭を下げられ、私は少しの間固まってしまった。
「な、なに言ってるの?」
「俺のせいで、杉浦さんが全校生徒に『清瀬さんを無視しろ』って命令したんだ」
「なんだ、そんなこと?龍華さんは悪くないんだから、顔を上げてよ」
私が苦笑交じりで言うと、龍華は顔は上げず、怯えた様子で聞いてきた。
「お、怒らないの......?」
「怒るわけないじゃん。だって、龍華さんは悪くないし。まぁ、最初はやっちゃったって思ったけど、結果的には後悔してないよ」
私が即答すると、龍華は目を見開き、微笑んだ。
その時、私の胸はなんだか騒がしくなった。
「清瀬さん、ありがとうございます。この御恩は、いつかお返しします」
「えっ、そんなの良いのに。大したこともしてないし」
遠慮して後ずさると、龍華は距離を縮めてきた。
もしかして、龍華は意外と押しが強いのだろうか。
「お世話になったままだけは嫌です。必ずお返ししますから。それではまた明日」
龍華は私を取り残して走り去っていった。
若干呆れてしまったが、ここまで感謝されたのは初めてだったので、少し浮かれてしまった。
今後の私の学校生活のことは考えずに。