「アッキーの涙、初めて見た」

 ベンチへ戻れば、全員が泣きっ面。

「あほかっ。全国1位とって泣かねえ奴なんかいるかよっ」
「そんなに泣いてちゃ、てっぺんからの景色滲むぞ?」
「うるせえっ」

 こつんと肘で小突き、笑い合って。熊五郎もナベも陽平も、涙を垂れ流したままに笑っていた。
 そして眉間に手をあてる鬼頭をふと見やれば。

「え、コーチ……」

 彼も思う存分涙していた。

「よくやった…本当に、よくやった……」

 息を詰まらせながらも讃えてくれた彼に、俺等3年生は最後にこんな願いを告げてみた。

「回らない寿司屋に行きたいです!」

 すると豪快に笑った鬼頭はこう言ったんだ。

「お前等にはまだ早い」ってね。