もう勘弁してくれよと思ったのは、(ちゅう)へ浮いてからすぐのこと。
 4番8番と、俺のシュートモーションにすかさず反応した2人に目の前でされる万歳で、シュートのコースを失くされる。

 俺とほぼ同時にフロアを蹴り上がっていた2人は鉄壁と言っても過言ではない。
 彼等が作る巨大なバリケードは、俺を途端に(ひる)ませた。

 額の前、構えたボール。あとはうつだけなのに。

「ちっきしょっ……!」

 次の一手はどこにもない。時間が時間なだけにパスなんて選択肢も選べない。

 ここまでか、と諦めかけたその時だった。

 視界を遮る4本の腕の下。指先をくいくいと動かしボールを要求する手が見えたのは。