その直後。俺の双眸(そうぼう)に映し出されたのは、信じられない光景だった。

「え……」

 ガゴン!とリングに(はじ)かれたボールがお(かど)違いの(ちゅう)へ飛んで行くさまは、俺から束の間呼吸を奪う。
 泥のようなものが喉そこまで上がってきて、窒息だってしそうになる。

「リバウンド!!」

 仲間の雄叫び。

「取れぇえええ!!!」

 鬼頭の叫喚(きょうかん)
 そして、悲鳴にも聞こえた応援席の声。

 全ては虚しく響き、鼓膜に残る。

「そ、そんな……」

 やってしまった外してしまった。
 絶対に決めなくてはならない、その1本を。