リングを真っ直ぐ見据えていると、ふと今までの思い出が蘇る。

 中学で出逢えた最高で最強な仲間達。

 時には涙し、時にはぶつかり合い胸ぐらだって掴みあったけど、一緒にいれば笑っていることのほうが断然多かった。

 誰のバッシュが1番臭いかと競いあったり、俺等による俺等の為だけの応援歌を勝手に作って歌ったり。朝練習に遅刻した奴は1発ギャグを披露するのが詫びの代わり。

 部活帰り、皆で頬張ったコンビニのチキン。
 試合に勝つごとに、鬼頭へねだった焼肉屋や回転寿司。本当は回らない寿司屋がいいけれど、それは「お前等にはまだ早い」とずっとお預けを食らっている。「まだ」が解禁されるのは一体いつだ?

 さあ、残りはあと1.44秒。ここにはどんなメモリーが刻まれるのだろう。

 俺は輝く未来を信じ、ボールで大きく弧を描く。