それか試合終了までのその(かん)に、2点を取れるその作業を2度繰り返す。熊五郎で2点ナベで2点。そうすれば計4点が加算されて俺等の勝ちだ。

 ちらり、横目で残り時間をチェックして、ふんっと色のない溜め息を吐く。

 だめだ。さすがに現実味がなさすぎる。何故ならこのボールが1度でも俺等のネットを(くぐ)ってしまえば、(たちま)ち変わってしまう(こう)(ぼう)
 点を追いかける立場を維持したまま2点だけの得点と引き換えに、敵へボールを渡してしまうのは本望ではない。

 ダム ダム ダム。

 やばい、もうすぐコートの半面へと辿り着いてしまう。そろそろ決断しなければ。

 誰でいく、スリーは誰がうつ。そしてその為にはどうしたらいい。

 真正面、4を背負った敵の男がギロリと俺に睨みをきかせてきたから、俺も精一杯の眼力を意識した。
 バチバチと、彼と俺にしか見えない火花が舞い散る。

 考えなんてまとまりやしない。だからもう、俺は俺等を信じることにした。

 小学1年生の頃、陽平に誘われて始めたバスケというスポーツ。あれから8年、崖っぷちに立たされることなんて何度もあったじゃないか。その度に今まで培ってきた努力やスキルで食らいついた。

 ダム ダム ダム。

 よしっ、やってやる。