「ん、んんーー」
 なんか、もふもふ。あったかい。
「わんっ」
「もーやめてよぉー、もうちょい寝たいの」
「わんっ」
「……って、ん?」
 パチって目を開けた。
 目の前に犬の顔……。
「ルーキー?」
「わんっ」
 ってことは……。
 周りを見渡すと、
 理樹……。
「やぁ! おはよう! いや違うか、おかえりなさい! かな? にしても思ったより早かったね」
 外はまだ暗かった。
「おは、よう? ってか今何時よ?!」
「君の時計によると、4時前?」
 やば、結構寝てたみたいだ。
 家に帰らなきゃだ。
 もう今すぐにで逃げたい気分だけど、とりあえずこうするしかないよね……。
「理樹、ここでこんなもの見なかった?」
 私はネックレスを見せながら言った。
「知ってるよそれ。どこにあるのか」
「教えて! どこにあるの?」
「ここにあるのさ」
 そう言って理樹が指したのさ自分の首元だった。
「信じらんない。なんで理樹が持ってるの……」
「まぁ、見つけたんだ。ここで」
「そっか」
 でもこんなにずっとここにいるのなら有り得る話だよね、
 なんで理樹はずっとここにいるのかな?
 でもなんか、聞ける雰囲気じゃない。
 とりあえず、
「返して? ネックレス」
「嫌だよ」
「なんで? こんなに探してたのよ! 大事なものなんだってわかるでしょ? それに元々私のものよ! だから返して」
 私は理樹に詰め寄っていた。
「わかったよ。今度はちゃんと渡すよ。ただし、条件がある」
 条件……。
「何よ?」
「話してくれ、僕に。君をこんなにさせた理由を。口では強気なくせにずっと、辛そうな、寂しそうな顔をしている。何があったか話してくれないか?」
「……」
 話す……?
 そんなの嫌だ。誰にも話さないって決めたんだ。
 でも話さない限りネックレスは諦めなくてはいけない。
 それも嫌だ。
 どうせ話しても話さなくても理樹は向こうでは合わないだろう。今日きりの関係だ。もう泣いてる姿も見られたし、、
「いいよ」
 結局私はそう返事をした。